米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○底入れしたブロイラー卸売価格


4月以降は回復基調

 米農務省(USDA)によると、99年6月のブロイラー卸売価格(12都市平均丸ど
り価格)は、60.3セント/ポンド(162円/kg。1ドル=約122円)となった。卸売
価格は、ロシア向け輸出が激減したことから、98年8月をピークに一貫して下落
していたが、4月を底に上昇に転じ、6月もわずかながら前月より値を上げた(左
図参照)。


むね肉不振も、もも肉需要は堅調

 卸売価格が回復に向かった要因としては、国内市場で弱いとされてきたもも肉
の需要が旺盛だったことが挙げられる。もも肉(ホール)価格は、7カ月ぶりに
上昇した5月に続いて、6月も、独立記念日(7月4日)をはさんだ連休に向けたバ
ーベキューなどの需要が旺盛だったことから、33セント/ポンド(88円/kg)ま
で値を上げた。一方、むね肉(骨なし)価格は、4月、5月と上昇したものの、国
内の消費が好調な牛肉と競合したことなどから、6月は166セント/ポンド(446
円/kg)まで下落している。

◇図:ブロイラーの卸売価格◇


明るい材料の続く輸出

 もも肉価格が堅調なのは、輸出需要の活発化も一因となっている。最大の仕向
け先であるロシア向け輸出は、経済の混乱とこれに伴う通貨ルーブルの切り下げ
から、前年の4割程度の水準にとどまっているが、最近になって回復の兆しが見
え始めている。こうした中、2月に決定されたものの、詳細についてこれまで発
表されていなかったロシア向け冷凍鶏肉5万トンの援助輸出の実施が、7月第2週
にも公表されることが明らかになった。このため、ロシア向け輸出は、今後増加
するとみられる。また、東欧市場では、ベルギーで鶏肉のダイオキシン汚染問題
が発生したため、代替市場を求めて米国産もも肉の引き合いが増しているとみら
れる。さらに、中東向けも、USDAが6月30日に、輸出奨励計画(EEP)に基づく
補助金付き輸出として冷凍鶏肉20,210トンを同地域向けに割り当てたことから、
今後弾みがつくと見込まれる。

◇図:ブロイラーのロシア向け輸出量◇


昨年水準までの卸売価格回復は困難か

 このように、ブロイラー卸売価格は、回復の軌道に乗ったかにみえる。しかし、
USDAは、依然として生産の拡大が見込まれることから、輸出が回復し、牛肉な
ど他の食肉との競合にも勝ち抜き、しかも昨年夏のような猛暑にでも見舞われな
い限り、今年後半は記録的に高かった前年水準までは回復しないと見込んでいる。

元のページに戻る