◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)は6月30日、穀物の作付意向調査の結果を発表した。この調 査は5月28日から6月17日にかけて実施されたが、作付面積の99%が既に作付けを 完了したことからほぼ作付実績とみなされる。 調査結果によると、本年度のトウモロコシの作付面積は前年度を3.2%下回る3, 140万8千ヘクタール(104万3千ヘクタール減)と、3月の作付予想は1%弱下方修 正された。 トウモロコシの作付面積は、96年農業法による作付制限の撤廃および減反の廃 止の影響もあり、96年に穀物価格が高騰したことから前年度比10%強の高い伸び を示した。その後、2年連続でわずかながらも前年度を上回ってきたが、今年度 は減少に転じた。 ◇図:トウモロコシ作付面積の推移◇
全米のトウモロコシ作付面積の6割弱を占める主要5州(アイオワ州、イリノイ 州、ネブラスカ州、ミネソタ州およびインディアナ州)の合計では、前年度を1.1 %下回る1,800万9千ヘクタールとなった。最大の作付面積を有するアイオワ州 (3.2%減)、ネブラスカ州(3.4%減)、ミネソタ州(1.4%減)が前年度を下回 ったのに対し、前年を上回ったのはイリノイ州(1.9%増)およびインディアナ州 (1.7%増)となった。 主要5州以外の州の合計では、前年度を5.9%下回り主要5州よりも減少幅が大き く、トウモロコシから大豆等への作付けの転換が顕著に現れた。 全米および主要州におけるトウモロコシの作付面積 資料:USDA/NASS「Prospective Plantings」、「Acreage」
作付けに当たってトウモロコシと競合関係にある大豆は、前年度を2.5%上回 る3,003万ヘクタール(74万ヘクタール増)と史上最大の作付面積となった。 こ れは価格支持融資制度(注)の融資単価(ローンレート)水準が、トウモロコシ (1ドル89セント/ブッシェル)よりも大豆(5ドル26セント/ブッシェル)の方 が有利との生産者の判断があったためとみられる。さらに、大豆の方が遺伝子組 み換え品種によるコスト低減の効果が大きいとされることも、大豆の作付けを選 択した理由とされている。
今回の調査結果からトウモロコシの収穫面積は、作付面積の91.5%に当たる2,8 74万9千ヘクタール(前年度比2.2%減)と見込まれている。 また、USDAが発表した7月6日現在の主要17州のトウモロコシの生育状況は、 「良」(Good)または「優良」(Excellent)が全体の77%を占め前年同期の66% を上回っており、コーンベルト地帯を中心におおむね生育に適した天候が続いて いると報告されている。 (注)価格支持融資制度 生産農家が農産物を担保に商品金融公社(CCC)からローンレート(過去の市 場価格を基に算出)での融資を受ける制度。市場価格がローンレート(+利子) を上回るときは、農家は、融資額と利子を返済し、農産物を市場で販売するため、 市場流通量が増加して価格は下がる。一方、融資期限(9ヵ月間)が来ても、市 場価格がローンレート(+利子)を下回るときは、農家は、担保の農産物をCCC へ引き渡すため、市場流通量が減少して価格は上昇する、という仕組み。
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