◇絵でみる需給動向◇
ニュージーランド・デイリー・ボード(NZDB)によると、98年6月〜99年4月 の生乳生産量(乳固形分ベース、以下同じ。)は、前年同期を4.4%下回る83万3 千トンとなった。NZの生乳生産は、同国の晩秋に当たる5月をもって搾乳シーズ ンを終了することから、98/99年度の生産量は、前年度を4.6%下回る84万9千ト ンに落ち着くとみられている。これは、NZDBが以前発表した見込みを3.1%下回 るもので、90年代に入ってから一貫した生産の拡大傾向から一転減少することと なる。 ◇図:生乳生産量の推移◇
こうした生産減の背景には、主要な生乳生産地域がまれに見る悪天候に見舞わ れたことが挙げられる。特に98/99年度は、春季に記録的な降雨に見舞われる一 方、夏季には、多くの生産地域が2年連続の干ばつの被害を受けたことから、牧 草の生育状態が悪化し1頭当たりの乳量の減少をもたらしたとされる。NZの酪農 は、放牧主体の季節型生産が基本であるため、生乳生産は気象状況の影響を大き く受ける。
生乳生産を地域別に見ると、生乳全体の約8割を生産する伝統的生産地域であ る北島は、98年6月〜99年4月の間では前年同期を5.9%下回る66万2千トンであっ たのに対し、新興生産地域の南島は、前年同期を3.4%上回る17万1千トンとなっ た。中でも北島最大の生産地区のサウス・オークランドは、99年4月の生産量が 前年同月の約半分の水準までに減少し、98年6月〜99年4月では、前年同期を8.7 %下回る32万4千トンとなった。南島においても長引く干ばつの影響から、搾乳 を早めに切り上げざるを得ない地域もあり、全国的な被害が伝えられている。
こうした状況の中、NZDBは、98/99年度の最終乳価(乳固形ベース)につい て、前年度を8.3%上回る3.25NZドル(約215円:1NZドル=66円)/kgと発表し た。98/99年度の乳価が前年度をかなり上回る結果となったことに対し、NZDB では、他の乳製品輸出国との競争が激化したにもかかわらず、国際市場のシェア 拡大により記録的な輸出販売額となったことが大きく寄与したとみている。また、 輸出シェア拡大については、為替相場や利幅の大きい付加価値乳製品へ販売をシ フトした点などが効果を上げたとし、生乳の生産減に反し好調な乳製品輸出とな った。
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