◇絵でみる需給動向◇
台湾の畜産業の根本を担う畜牧法は、98年6月24日に公布・施行されているが、 その実行に当たっての詳細事項を定めた施行細則が、99年4月22日に行政院で承 認され、同年5月6日に公布・施行された。 畜牧法では、飼育場の所在地域と畜産廃棄物による環境汚染の防止に配慮した 上で、一定以上の規模を有する飼育場はすべて登記をすることとされているが、 99年1月に農業委員会は、この一定以上の規模を豚については飼養頭数20頭以上 と決定している。したがって、20頭規模以上の養豚場は、今回公布・施行された 畜牧法施行細則(以下「施行細則」という。)の定める手続きにより、2000年6 月30日までに飼育場登記を済ませなければならないこととなった。
施行細則は6章31条からなるが、その要点は以下の通りである。 1 総 則 施行細則の法的根拠が畜牧法にあることが明記されている。 2 飼育場の登記と管理 飼育場を繁殖用家畜家きん飼育場と生産飼育場に区分し、その提出書類につい て定めるとともに、飼育場が閉業、休業、復業する場合には、県政府などに申請 することを義務付けた。また、県政府などは、毎年1月末までに、前年に手続き された飼育場登記の変動状況についてとりまとめ、行政院農業委員会(農業省に 相当)に報告することが規定されている。 3 繁殖用の家畜・家きんおよびその遺伝資源の管理 新しい品種や系統の繁殖用の家畜・家きんおよびその遺伝資源を発見、育成ま たは国外から買い入れた場合には行政院農業委員会に登記する必要があり、登記 されたこれら繁殖用の家畜・家きんおよび遺伝資源を普及あるいは販売する場合 には、一定の制限が設けられているほか、同委員会が指定し公告する繁殖用の家 畜・家きんを血統登録機関に登録する際の手続きについても規定している。 4 生産販売調整と指導 畜牧法では、畜産の生産販売制度を有効に実施するため、行政院農業委員会は 財団法人中央畜産会(以下「中央畜産会」という。)を設立することとし、中央 畜産会は畜産関係業者から関係資料を集め、また、中央畜産会の提供するサービ ス内容やサービス料の計算方法についても規定している。 5 と畜管理 と畜場を、畜牧法により設立されたと畜場または畜牧法施行前に許可あるいは 指定を受けたと畜場とし、と畜場が登記証明書の発行を受けるか、または復業許 可を受けた場合には、行政院農業委員会に対し、同委員会のトレーニングを受け て合格した獣医師による衛生検査を申請することが義務付けられた。 また、必要に応じて中央または地方の政府がと畜場の立入調査ができること、 その際には警察や関係機関に協力を要請できることなどが規定されている。
畜牧法に定める生産調整に基づき、世界貿易機関(WTO)加盟後に想定される 激変緩和措置の一環として、行政院農業委員会は、競争力の劣る小規模な養豚農 家などの転業促進のために離農補償を行うこととし、98年10月26日に離農計画を 公告した。所要経費は約176億元(約660億円;1元=約3.75円)で、離農補償の 申請期間は98年11月1日から99年1月31日、また、畜舎の撤去期限は99年6月30日 とされていた。 申請締切日までに、6,754戸の養豚農家から離農補償の申請があり、6月17日ま での段階で6,017戸が審査認定されている。 97年3月の口蹄疫の発生以来、米国から若干の輸入はあるものの、台湾の豚肉 需給は基本的に国内完結型となっているが、この離農計画の実施により、台湾に おける豚の生産頭数と消費需要は、ほぼバランスのとれた状態に近づきつつある ようだ。
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