◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、6月1日現在の豚の総飼養頭数は、前年同月比2.7 %減の6,054万頭となった。この減少は、2年ぶりに減少に転じた第1四半期に続 くものであり、肥育豚価格の低迷が長期化する中で、減少基調がようやく本格化 したとみられる。州別では、全米第1位のシェアを有するアイオワ州で前年を上 回ったものの、他の上位4州は軒並み前年を下回った。 豚の総飼養頭数(99年6月1日現在) 資料:NASS/USDA「Hogs and Pigs」 注1:( )内の数値は前年比 2:肥育用、繁殖用ともに雄雌を含む 種類別に見ると、繁殖豚(雄を含む)は、前年比6.4%減の652万頭と、6月1日 現在の飼養頭数としては過去最低を記録した。その理由としては、主要生産州を 中心にとう汰が進んでいることに加え、USDAが推進するオーエスキー病の根絶 計画により、同病にり患した繁殖豚が20万頭程度処分された一方、カナダからの 繁殖豚の供給が伸び悩んだことが挙げられる。
肥育豚の飼養頭数も、前年比2.2%減の5,400万頭と、約2年ぶりに前年を下回っ た。これを体重階層別に見ると、180ポンド(約80kg)未満はいずれの階層も前 年割れしたものの、180ポンドを超える重量級の肥育豚は、前年比102.1%と依然 として増加を続けている。このため、USDAでは、豚肉生産量は今年秋までは、 高水準で推移すると見込んでいる。 ◇図:体重階層別肥育豚頭数◇
肥育豚価格は、3月以降徐々に回復しているものの、前年水準を超えるまでに は至っていない。これは、これまでの大量供給により凍結に回った在庫が5月末 としては記録的な水準にある一方、パッカーの買い控えなど需要が不振である ことが背景となっている。こうした状況にあって、業界関係者の間では、今回 の飼養動向の公表は、市況を好転させる絶好の機会と期待されていた。しかし、 一部業界紙は、今回は予想したほど減少しなかったと報じ、価格見通しに対す る好材料とは位置付けていない。関係者にとっては、飼養頭数ひいては豚肉の 生産の一層の減少が切望される事態が当面続くことになろう。 ◇図:肥育豚価格◇
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