EU農相理事会、オーガニック畜産物の統一基準を承認


96年以降、オーガニック畜産物の統一的基準作りが本格的に進む

 EU農相理事会は6月15日、オーガニック畜産物に関する基準を承認した。EUに
おけるオーガニック農産物については、91年に穀物などに関する基準(理事会規
則2092/91)が定められたが、畜産物については統一的な基準はなかった。96年
にオーガニック畜産物に関する基準がEU委員会から提案され、その後、畜舎環境、
動物愛護および飼料などオーガニック畜産物を生産するための基準となる諸条件
について検討されてきた。


オーガニック畜産物に統一ロゴマーク

 今回承認されたオーガニック畜産物に関する基準の主な内容は、詳細は明らか
となっていないが、以下の通りとされている。

 飼料面では、遺伝子組み換え農産物を含む飼料および人工成長促進物質を使用
した場合、オーガニック畜産物とは認められない。また、将来的には肉および骨
粉を飼料として与えることは禁止するとしている。

 衛生面では、獣医師の管理下での病畜への抗生物質の投与が認められた。しか
し、投与回数については、大家畜は3回まで小家畜は1回までと限定されており、
これを超えた場合には、その家畜から生産された畜産物はオーガニック畜産物と
認められない。

 飼養面では、家きんは生後81日以内にと鳥しなければならないと規定している。
ただし、成長が遅れ、と鳥体重に達しない個体については、規定の適用が免除さ
れる。この場合、生産者は個体の成長が遅れた証拠を提示しなければならない。
また、家畜を屋外で飼養しなければならない最低期間を規定している。ただし、
天候条件の悪いフィンランドなどでは規定の適用が免除される。

 EUでは、今後この基準に従って生産したオーガニック畜産物であることを消費
者に対し保証するため、牛肉、豚肉などの製品に統一のロゴマークを付したラベ
ル表示をすることとなった。

 なお、この基準は官報告示日から1年後に実施に移される。


今後さらなる拡大が見込まれるオーガニック農産物市場

 EUにおけるオーガニック農産物の市場シェアはまだ小さいものの、近年、その
需要は急速に拡大している。しかし、オーガニック畜産物については、これまで
統一的な基準がなく、各加盟国で独自の規定が適用されてきた。このため、今回
の統一基準に比べてより厳格な基準を既に適用しているイギリスなどは、EUの統
一基準を今後一層強化することを求めている。

 EUでは、ベルギーに端を発した鶏肉・鶏卵等のダイオキシン汚染問題や遺伝子
組み換え食品の安全性に関する論議など、食品の安全性に対する関心は非常に高
い。このような状況下、オーガニック農産物が今後ますます注目されるものとみ
られる。

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