EU、遺伝子組み換え農産物の認可を一時停止


 EU環境相理事会は6月25日、現行の遺伝子組み換え農産物(GMO)の認可等に
関する法令(理事会指令90/220/EEC)を改正することに合意した。今後、欧州
議会に本件に関する提案書が提出され、理事会指令改正についての審議が続けら
れる。この間の新たなGMOに対する認可については、今回の理事会での審議の中
で大きな争点の1つとなった。フランス、デンマーク、イタリアなどは既に認可
されたGMOも含めてGMOの認可停止を求めたが、イギリスなどがこれに強く反
発した。結局、新たな理事会指令が発効するまで新規の認可を一時停止するとい
う政治決着が図られた。なお、GMOの認可等に関する新たな理事会指令の発効は、
今後の審議などに要する時間を勘案すると、早くとも2002年以降とみられている。

 今回合意に達した主な改正点は次の通りである。

・個々のGMOに対する認可の有効期間の設定(最長10年)
・一定以上の割合のGMOを含む製品に対する表示の義務付け
・認可の審査過程に関する情報の一般への提供

 今回の理事会の審議でも明らかとなったように、EU加盟国間でGMOに対する考
え方に大きな差があることから、今後の理事会指令改正に関する審議についても、
う余曲折があるものとみられる。一方、こうしたEUの動きに対し、GMOが既に普
及し始めている米国やカナダは反発を強めており、米通商代表部(USTR)はこの
問題に関してWTOへ提訴する可能性を示唆している。

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