豪州の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○98/99年度の牛肉生産、輸出ともに減少見込み


飼養頭数は前年並み

 豪州農業資源経済局(ABARE)が発表した需給見通しによれば、99年 3 月
末現在の牛飼養頭数は、前年度並みの 2 千6 百万頭になると見込まれている。
98年9 月以降、豪州の主要な肉牛生産地域が降雨に恵まれたことで、草地の状
態が良好になっていることから生産者の増頭意欲が高まっているものの、98年 
3月頃まで続いた干ばつにより、雌牛を中心とした牛群のとうたを行ったことが
影響して、増加には至らないとみている。


生産は 3 年ぶりの減少

 ABAREでは、こうした生産者の肉牛出荷を保留する動きが続くことにより、
98/99年度(98年 7 月〜99年 6 月)のと畜頭数は、前年度を11.1%下回る
829万頭になると見込んでいる。また、と畜頭数の減少を受けて牛肉生産量(枝
肉ベース)も、前年度を7.2%下回る181万 7 千トンを見込んでおり、近年増
加傾向にあった生産が 3 年ぶりに減少に転じることとなる。

◇図:牛肉生産量の推移◇


牛肉輸出70万トン台に減少も、米国向けはかなり増加

 輸出についてみると、98/99年度の総輸出量(船積み重量ベース)は、国内
の牛肉生産の減少や海外需要の減退などから、前年度を4.3%下回る78万 6 千
トンになると予測されている。

 しかし、第 2 位の市場である米国向けは、同国の肥育牛価格の上昇が見込ま
れる99年半ば以降、牛肉供給の減少が予測されるとして、加工原料用を中心と
した米国向けの輸出需要がかなり増加するとみられている。また、最近の豪ド
ルが対米ドル安で推移していることも価格競争力の面から有利に働き、需要増
加の一因に挙げられる。このため、98/99年度の米国向け輸出量は、前年度を
9.6%上回る26万 3 千トンになると見込まれている。


日本向けはわずかな増加に

 最大の市場である日本向けについては、国内の牛肉需要が引き続き弱いとす
る見方が強いものの、最近の消費動向として、より安価なものが好まれる傾向
となっており、為替相場や、今後、米国産牛肉の価格上昇が見込まれているこ
となどを考慮すると、日本市場に対する競争力は増すものとみられている。そ
の結果98/99年度は前年度を2.2%上回る32万トンと見込まれている。

 この他のアジア諸国向けについては、経済回復にしばらく時間がかかるとし、
98/99年度も引き続き低調であると見込まれている。

牛肉需給見通し

 資料:ABARE「Australian Commodities」
 注 1 :牛飼養頭数は、毎年度 3 月末現在
   2 :と畜頭数は子牛を含む
   3 :97/98年度は速報値、98/99年度は予測値


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