タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○日本向け、EU向け輸出がともに回復


輸出は回復

 タイブロイラー加工輸出協会が取りまとめた98年11月の鶏肉の輸出量(速
報値)は、前年同月比60%増の 2 万 9 千トンとなった。このうち、冷凍鶏肉
は59%増の2万 2 千トン、鶏肉調製品は61%増の6千トンといずれも大幅な
伸びとなった。特に、10月において、前年同月比8%増と伸び率が大きく鈍化
したEU向けの輸出量は、53%増の 8 千トンと、再び 5 割を超える伸びに達
している。また、日本向け輸出量も53%増の 1 万 7 千トンと大幅な伸びとな
っている。

 この結果、98年 1 月から11月の鶏肉の輸出量は、前年同期比46%増の25
万 2 千トンとなり、そのうち冷凍鶏肉が46%増の19万 7 千トン、鶏肉調製
品が47%増の5万 5 千トンとなっている。

 同協会が発表した98年の輸出予測によると、輸出量では、冷凍鶏肉は前年比
46%増の22万トン、鶏肉調製品も同46%増の 6 万トン、合計では同46%増
の28万トンと見込まれている。このうち日本向け輸出は34%増の17万 2 千
トンと予想されているものの、輸出量全体に占めるシェアは、97年の67%より
5.5ポイント低い61.5%となっている。一方、大幅な輸出量の増加が見られた
EU向け輸出は、65%増の 7 万 8 千トンと予想されており、シェアも97年の
24.7%から28%へと増加するものと予想されている。

 また、輸出金額では、大幅な輸出価格(ドルベース)の低下にもかかわらず、
バーツ安と輸出量の急増から冷凍鶏肉で前年同期比57%増の172億バーツ(約
573億円、 1 バーツ=3.33円)、鶏肉調製品は79%増の89億バーツ(約296
億円)、合計で64%増の260億バーツ(約866億円)と大幅な増加が予想され
ている。


卸売価格高水準も、小売価格は連動せず

 バンコク市場における98年12月の鶏肉(中抜き)の卸売価格(速報値)は、
前年同月比11.3%高の 1 kg当たり41.5バーツ(約138円)となっている。卸
売価格を決定する要因である輸出が好調であったため、97年11月からの上昇
傾向となっているが、98年 9 月のピーク時に前年同月比30.8%高、44.54バ
ーツ(約148円)となって以降下落しており、11月まではやや弱含みで推移し
た。しかしながら、この動きも為替相場などの一時的な動向によるものとの見
方が強く、今後は再び上昇に転じるものと見られている。

 一方、小売価格(速報値)は、卸売価格とは連動せず、98年 1 月より弱含
みで推移しており、98年 9 月も前年同月比3.7%安の 1 kg当たり50.79バー
ツ(約158円)と、引き続き前年に比べて安い水準となっている。

◇図:タイにおける鶏肉価格の推移(バンコク市場)◇


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