米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○98年 9 月以降、大幅に落ち込むブロイラー輸出


10月のブロイラー輸出量は、2ヵ月連続の大幅減少

 米農務省(USDA)によると、98年10月のブロイラー輸出量(可食処理ベ
ース(骨付き))は、前月から 2 万 8 千トン増加したものの、前年同月と比
べて32.5%減の13万8千トンと 2 ヵ月連続で大幅な落ち込みとなった(左図
参照)。98年1 〜10月の累計では、前年同期比2.8%増の180万 1 千トンと
辛うじて前年水準を上回っている。しかし、懸案となっているロシア向けのブ
ロイラー援助輸出問題が98年中に解決しなかったことから、98年のブロイラ
ー輸出量は、84年以来14年ぶりに前年を下回った可能性が高くなっている。


ロシア向け輸出、 9 月はわずか010千トン、10月は 2 万 2 千トン

 ロシア向け輸出は、98年 8 月まで毎月070万トン前後が輸出されていたが、
ルーブルが切り下げられた後の 9 月には010千トンにまで落ち込み、10月に
はやや回復したものの、前年同月に比べて040分の 1 以下の水準である 2 万 
2 千トンにとどまっている。この結果、98年1〜10月までのロシア向け輸出量
は、前年同期比19.9%減の61万 8 千トンとなった。最大の輸出先であるロシ
ア向けの輸出不振が、米国全体のブロイラー輸出にとって大きな足かせとなっ
ている。

◇図:ブロイラーのロシア向け輸出量◇


ロシア以外への輸出は、いずれも増加

 一方、第 2 の市場である香港やメキシコ、日本向けなどロシア以外の主要輸
出先への98年 1 〜10月の輸出量はいずれも増加している。その他の国ではラ
トビア向けが前年同期比19.0%増、エストニア向けが前年同期の約3.2倍とバ
ルト海沿岸諸国への輸出が大幅に増加している。この他ポーランド向けが同
54.6%増(いずれもブロイラー部分肉輸出量(製品重量ベース))と増加して
いるが、ポーランド向け輸出については、そのほとんどがウクライナなどへ再
輸出されているとみられる。

 また、 9 月以降について見ると、ロシア向け輸出が大きく落ち込む中で、日
本向け輸出の増加が顕著となっている。

米国の国別ブロイラー輸出量

 資料:ERS/USDA「Livestock, Dairy and Poultry Situation and Outlook」
  注:数量は可食処理ベース(骨付き)


元のページに戻る