◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、全米の11月の生乳生産量は、前年同月比3.0% 増の577万 6千トンとなった。月別の生産量が 3 %以上の伸びを示したのは、 97年 8 月以来15ヵ月ぶりである。しかし、これは、96年の生乳生産が天候 不順などにより落ち込んだための見掛け上のもので、実質的には95年 3 月以 来の高い伸びである。これを州別に見ると、生乳生産上位10州のすべてで前年 並み若しくは前年を上回り、主要20州でも、前年を下回った州は、フロリダ、 バージニア、ケンタッキーのわずか 3 州のみとなっている。 98年11月の州別生乳生産量および経産牛頭数 資料:NASS/USDA「Milk Production」 注:経産牛頭数の全米合計の欄の数値は、主要20州合計
98年の生乳生産の動向を見ると、@年初に最大の生産地域であるカリフォル ニアなどで記録的な降雨があり良質な粗飼料が不足し、A夏にはテキサス、フ ロリダなど南部を中心に干ばつに見舞われ、これに伴う高温の影響で1頭当た りの乳量が減少したことから、生乳生産は 9 月まで前年同月比0.8%減〜1.2% 増と伸び悩んでいた。しかし、生乳生産はその後、10月に同1.8%増、11月に は同3.0%増と 2 ヵ月連続の増加となっている。また、主要20州の01 頭当た り乳量も回復し、経産牛頭数も記録的な高水準の乳価に後押しされ11月には前 年を上回ったことから、全米の生乳生産は、不振から完全に脱したとみられる。 ◇図:98年の生乳生産量等の増減◇
生乳生産不振の要因の 1 つは、規模拡大により増産を続け、全米の約 2 割 の生乳を生産しているカリフォルニアでの生産の伸び悩みにある。同州の98年 11月の生乳生産量は、前年同月比2.3%増と前年を上回ったものの、全米合計 の伸びを下回っている。また、98年 10〜11月の生乳生産量でも、全米合計が 前年同期比0.7%増と前年を上回っている中で、カリフォルニアは同0.2%の減 少となっている。カリフォルニアでは、上述した98年初めの記録的な降雨に加 え、夏場の高温により、経産牛 1 頭当たりの乳量が 2 月以降前年を下回って 推移しており、 8 月には前年同月比7.9%減とかなりの程度落ち込んだ。しか し、経産牛の頭数が引き続き増加していることから、経産牛 1 頭当たり乳量の 回復に伴って、生乳生産は増加に転じている。 ◇図:98年のカリフォルニア州の生乳生産量等の増減◇
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