◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、98年12月の肥育豚価格(主要 5 市場の平均 生産者販売価格、推定値)は、前月から3.7ドル安、前年同月比65.4%安の14 ドル/100ポンド(36.7円/kg: 1 ドル=119円で換算)となった。週別の動 きを見ると、12月第 3 週には一時10ドルを割り込んだ。これはコーンベルト 地域の標準的な生産コストの 4 分の1 に当たる水準である。12月末には再び 10ドル台前半に回復したが、養豚農家には厳しい状況が続いている。 こうした中、全米最大の農業団体であるファーム・ビューロー(AFBF)や肉 豚の生産者団体である全国豚肉生産者協議会(NPPC)は、政府に対し養豚農家 支援対策を要請した。AFBFは農務長官に宛てた昨年12月16日付けの書簡の 中で、「通貨価値を勘案すると、肥育豚価格は史上最低の水準にまで落ち込ん でいる」と現在の危機的状況を訴えている。 ◇図:肥育豚価格◇
これを受けて、USDAは、昨年12月24日、養豚農家に対する支援対策を発 表した。その内容は、@養豚農家に対する10億ドル(約 1 千 2 百億円)に上 る運転資金融資、A豚舎新設に係るUSDAの融資保証の一時停止、Bオーエス キー病撲滅事業による肉豚とうた、C国内食料援助プログラムなどによる豚肉 の買入れ促進、D海外援助および輸出信用保証計画などの活用による輸出拡大 などとなっている。また、併せてUSDA内に特別対策チームを設け、養豚農家 に対する追加支援対策の検討を行うことを明らかにしている。NPPCは、この 発表を積極的な第一歩と評価しながらも、今後更なる対策を講じるよう求めて いる。
USDAが、四半期ごとに公表している豚の飼養動向調査によると、98年12 月 1 日現在の総飼養頭数は、前年の同時期を1.6%上回る6,216万頭となり、 肥育豚価格の低迷が長引く中にあっても、拡大傾向が維持されている。このう ち、肥育用の総飼養頭数は引き続き増加しているが、60ポンド(約27kg)未満 の子豚は同1.2%減、繁殖用が同4.1%減といずれも 7 四半期ぶりの減少となっ ており、99年後半には豚肉生産が減少に転じる兆しが明らかとなった。 これを州別に見ると、上位 5 州の順位は変らないものの、総飼養頭数に占め る割合は、前年同期に比べて3.4ポイント増の65.6%に上昇し、集中化が更に 進んでいる。また、上位 5 州のうち、中小養豚農家が比較的多いと見られるア イオワ州においてのみ、繁殖用の飼養頭数が減少していることは注目される動 きの一つである。 豚の総飼養頭数(98年12月1日現在) 資料:NASS/USDA「Hogs and Pigs」 注 1 :( )内の数値は前年比 2 :肥育用、繁殖用ともに雄雌を含む
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