牛乳・乳製品の消費拡大キャンペーンに係る実施状況を報告(EU)


インターネットやスポーツイベントの利用が急増

 EU委員会は、97年度(97年 7 月から98年 6 月)の牛乳・乳製品の消費
拡大キャンペーンの実施状況を取りまとめるとともに、98年度の方針を農相理
事会に報告した。このキャンペーンは、EUが費用を全額負担し継続的に実施し
ている。

 97年度のキャンペーンでは、新聞雑誌、ラジオ、テレビといった一般的なマ
スメディアの利用が従来同様多かったが、予算的には減少した。ただし、対象
層である若者を完全にカバーできるテレビの利用は増加した。一方、マルチメ
ディアやインターネットといった新しい媒体の利用が急増している。また、情
報を提供したり、新たな消費の場を開拓することを目的として、スポーツイベ
ントの利用が急増している。


スポーツイベントの利用を高く評価

 スポーツイベントを通したキャンペーンは、フランス、デンマーク、ドイツ
など 7 加盟国で行われた。その数は数千に上り、牛乳とスポーツとを関連させ
て若者の興味を引くような形で製品を展示し、牛乳の利点をアピールしたとさ
れている。この結果、牛乳・乳製品に対する新たなイメージや新たな消費パタ
ーンを生み出す効果があったとし、若者の注目を牛乳に集めるための卓越した
キャンペーン方法であると評している。

 具体例としては、フランスでのヨット競技への後援が挙げられている。「乳
製品=ピュア・センセ−ション」とのコピーの下に、乳製品=ヨットのイメー
ジを若者に焼き付けることを目的として実施されている。これまで 4 千のヨッ
ト教室登録者(80万人以上)を対象として実施され、10万回以上の試飲会が行
われた。また、デンマークでは、「 1 日0.5リットルの牛乳で一生大丈夫」と
のコピーの下、サッカースクールなどで、若者のスポーツ飲料としてのイメー
ジを生み出そうとしている。同国では、スポーツイベント以外の消費拡大対策
と相まって、牛乳消費が前年に比べて 2 %増加している。

 この他、ドイツでは、スポーツイベントに加えて、牛乳の高い栄養価値を漫
画のキャラクターを使ってアピールするなどのキャンペーンを行った。この結
果、18歳未満の子供を持つ家庭の乳製品消費量が前年に比べて 1 人当たりで 
4 %増加したと報告されている。スペインでは「バルセロナミルク/健康週間」
が開催され、牛乳と健康に関する展示や討論会、試飲会などを行うとともに、
学校へのパンフレットや教材の提供が行われた。イタリアでは全国的に牛乳の
無償配布などが行われた。また、多くの加盟国で、アルコール依存症や土曜の
夜のダンスパーティー後の交通事故を減らすために、牛乳・乳製品の消費拡大
キャンペーンが利用されたとも報告されている。


98年度もスポーツイベントなどを通じたキャンペーンを重視

 98年度は従来同様、25歳未満の若者、次いで妊婦や老人など特に栄養面での
配慮の必要な人々を対象として、ノンブランドでの牛乳・乳製品消費の維持、
拡大を目的に実施される。予算は、前年と同程度の約 1 千万ECU(約14億 1 
千万円:01 ECU=141円)が見込まれている。個々のキャンペーンは、各国の
実施主体が提出する実施計画案を、EU委員会が検討して選択する。この際、特
にスポーツやその他のイベントを通じたキャンペーン、疾病予防や栄養価値の
PRを重視するとしている。


元のページに戻る