牛肉消費の減少続く、豪州食肉消費動向


1 人当たり消費量、牛肉1.2kg減、家きん肉2.3kg増

 豪州統計局(ABS)が発表した97/98年度(97年 7 月〜98年 6 月)食
品消費動向調査によると、 1 人当たりの年間牛肉消費量(子牛肉含む)は、前
年度に比べ2.8%と比較的大きく減少した一方で、家きん肉の消費量は同8.1%
増加となった。97/98年度の 1 人当たり食肉総消費量(枝肉換算ベース)は、
前年度より0.7kg増加し104.7kgで、うち牛肉は前年度より減少したものの、
38.4kgと食肉類の中では最大となっている。これに家きん肉(そのほとんどが
鶏肉)が30.7kgと続いており、以下、豚肉は前年度より1.2%増の17.8kg、羊
肉は同1.8%減の16.8kgとなった。


小売価格動向が食肉消費に影響

 調査結果では赤肉類と白肉類では明暗を分けたが、この背景には小売価格動
向が大きく影響したとみられている。豚肉小売価格は、供給過剰により97年後
半から過去最低水準の価格低迷が続いたことや、鶏肉に関しては飼料価格の安
値により、小売価格が引き下げ傾向にあったとされる。このため、牛肉や羊肉
よりも相対的に豚肉や鶏肉の割安感が強まり、消費を後押しする結果となった。
特に、大手量販店などでは、特売アイテムとして、豚肉や豚肉製品を多用して
おり、消費回復に少なからぬ影響を与えたようである。


長期トレンドは牛肉から家きん肉へ消費がシフト

 長期的な消費傾向をみると、 1 人当たりの牛肉消費量は、77年の69.5kgを
ピークに減少傾向で推移している。これに対し家きん肉消費量は、60年代から
ほぼ一貫して増加しており、牛肉消費が減少局面に入った77年から現在までの
間では、ほぼ倍増している。また、この間の食肉総消費量が年間100kg前後で
安定的に推移していることからみて、食肉消費の中で牛肉から家きん肉へのシ
フトが続いているといえる。

 これには、鶏肉価格の低下と牛肉価格の上昇という相対的な価格要因、また
消費者の健康志向の高まりや、共稼ぎ家庭の増加を背景とした簡便な鶏肉製品
への需要増など、消費者ニーズの変化という要因が挙げられる。


牛肉業界、消費回復の取り組みを発表

 こうした豪州の消費傾向は、既に鶏肉消費量が牛肉を上回っている米国と全
く同様のパターンとなっていることから、牛肉業界では、早晩、牛肉の消費量
が鶏肉に追い越されるとの危機感が高まっている。このため、豪州肉牛生産者
協議会が開催したフォーラムでは、消費者に食味を保証する新たな格付制度の
導入、牛肉の持つ栄養特性の積極的なピーアール、部位の特性を生かした簡便
な料理法の普及啓蒙、中でも次世代の消費者を先取りするためにも学校教育な
どを通じた取組みなどが、牛肉消費回復の重要な方策として発表された。

豪州の 1 人当たり食肉消費量の推移

 資料:ABS「Apparent Consumption of Selected 
    Foodstuff」
  注:重量は枝肉換算ベース	


元のページに戻る