全国農村工作会議、農産物生産安定などが焦点に(中国)


高収益農業の発展が課題に

 全国農村工作会議が昨年12月28日、北京で開催された。この会議は、毎年 3 
月に開催される全国人民代表大会(全人代:国会に相当)を控えた時期に催さ
れるもので、その年の農業活動の成果を総括するとともに、地方政府に対して
翌年の農業政策や生産目標などを周知徹底させる場となっている。

 中国では長江や松花江などの流域の大水害にもかかわらず、98年の食糧総生
産量は当初目標の 4 億9,250万トンを超えることがほぼ確実で、96年に次ぐ
史上 20番目の豊作となる見通しである。また、食肉生産量に関しても前年比 
4 %増の5,570万トンとなる見込みである。

 こうした近年の生産状況を背景として、陳耀邦農業部部長は、中国が改革・
開放政策を採って以来農業生産力が高まり、長年続いた農産物供給不足状態は
基本的には改善されたと評価している。また、今後は農産物需要の伸び率の鈍
化に備えて、市場の動きに適確に対応するとともに、食糧供給の安定を目指し
た上で、高収益な農業を発展させていく必要があることを併せて説いている。


6 項目の努力目標を策定

 今年の会議では農村経済の発展に向けて次の 6 項目の努力目標を掲げる方
針が示されている。

 1  農村における基本政策の安定的な遂 行を図り、農村改革を押し進める。
 2  農産物の品質を高めて収益の増加を図る。
 3  農村における工業の発展を促進し、郷鎮企業の資質と収益を高める。
 4  農村の基礎施設と環境を整え、農業の持続的な発展を目指す。
 5  科学技術を導入し、農産物の増産を図る。
 6  貧困地域への補助を強化する。


99年の食糧生産目標は前年並み

 98年10月には 5 年に 1 度の三中全会(中国共産党中央委員会第三回全体
会議)が開催されており、農民の所得増加による農村経済の活性化を中心とし
た議題が討議された。今回の会議では、三中全会と本会議に先立って12月上旬
に開かれた中央経済工作会議の方針を継承し、農産物の安定供給を重要課題に
掲げていることから、99年の食糧生産目標は前年並みの 4 億 9 千万トンが設
定された。食肉生産に関しては具体的な数値目標は設定されなかったものの、
その他の農産物や水産物と同様に安定的な生産増を目指すとしている。

 また、それ以外では農民一人当たりの純収入の 4 %増加を図り、農村におけ
る貧困人口を 1 千万人削減することを目標に掲げている。


7.8%に止まった98年の成長率

 国家統計局が12月末に発表した推計値によると、98年の国内総生産(GDP)
は前年比7.8%の増加に止まり、政府が掲げた目標値の 8 %に届かなかった。
成長鈍化の要因の一つは経済成長をけん引していた個人消費の低迷と分析され
ているが、都市部では家電製品などがほぼ普及したため、今後は大きな新規需
要は見込めない。今春に開催される全人代では、99年の経済成長の目標は 7 %
前後に設定されると予想されており、これを達成するためにも政府は、人口の 7 
割を擁し、新規需要が期待される農村経済の活性化に力を注ぐものとみられる。


元のページに戻る