最大手のスーパーが値下げを実施(シンガポール)


121品目で平均 9 %の値下げ

 シンガポールの最大手スーパーマーケット・チェーンは12月、鶏肉や乳製品
をはじめとした食料品などの小売価格を、昨年 8 月に既に実施していた33品
目を含む121品目で平均 9 %引き下げた。これは、政府による今年 1 月から
の賃金引き下げで、生活が苦しくなる低所得者層を支援するための措置である。

 同チェーンは、与党系の労働組合が運営する協同組合組織で、同国内にスー
パーマーケットを65店舗所有するプライス・リーダー的な存在となっている。


政府は賃金抑制を含む景気回復策を展開

 東南アジアの通貨危機に当初はあまり影響を受けなかった同国経済は、イン
ドネシアなどからの観光客の減少や、輸出不振により次第に停滞傾向を強めて
いる。

 政府は、景気回復を図るため、労働コストの削減を目的として、今年 1 月よ
り02 年間、国内で事業を行う事業主と被雇用者が賃金の20%相当額をそれぞ
れ負担して、年金などのために積み立てる中央積立基金(CPF)の事業主負担
率を10%に引き下げることとしている。また、民間給与の決定に大きな影響力
を持つ公務員の給与を、上級官僚で10%、その他の官僚で 5 %引き下げるこ
とも決定しており、今年以降の一般労働者の賃金が抑制されるものと見られて
いる。この政策は、不動産への過剰投資から65年の建国以来初めて訪れた不景
気の際、85年に同様の政策を実施して景気を回復させた経緯があり、政府はそ
の成果に大いに期待している。


畜産物は 6 〜22%の値下げ

 こうした状況の中、今回の小売価格の値下げが実施されているが、同チェー
ンでは、系列の食堂などでも今年以降 5 〜10%引きの価格を計画しており、こ
れらの引き下げが低所得者層へのさらなる支援となるものと考えられている。

 なお、畜産物小売価格は以下のとおり、6 〜22%の値下げとなっている。


 注: 1 シンガポールドル=約73円


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