99年飼料輸入政策を決定(タイ)


99年トウモロコシの輸入割当はUR合意水準に

 タイ政府はこのほど、99年における飼料の輸入政策を決定した。
 政府は、95年以降、トウモロコシの需要拡大によって国内生産では不足する
数量を補うために、ガット・ウルグアイラウンド(UR)合意の水準より低関税
率で、かつ、それを大幅に超える数量の輸入を行ってきた。98年には、 5 万
2,964トンの合意数量に対し、30万トンもの無税による輸入を行った。
 しかし、97/98穀物年度( 7 月〜 6 月)の国内生産量が383万トンだっ
たのに対し、98/99年度は494万トンと大幅に増加する見通しとなっているた
め、政府は、価格の大幅な下落を回避し、国内生産者を保護する目的で、これ
までのようなUR合意を大きく超える輸入を見送ることとし、関税率20%、輸
入割当数量 5 万3,253トンのUR合意水準とすることとした。なお、割当数量
を超えて輸入する場合には、77.0%の関税の他に、トン当たり180バーツ(約
612円: 1 バーツ=3.4円)の輸入課徴金が課せられる。また、輸入期間は、
99年 3 月 1 日から同年 6 月末日までとし、昨年設定されていた同期間の前
後15日間の猶予は、廃止されている。


大豆、大豆ミールおよび魚粉の関税率は据え置き

 大豆については、95年に 5 %であった関税率が翌96年には無税になると同
時に輸入割当数量が廃止されている。99年もこの政策が踏襲されており、政府
から指定を受ける輸入業者は、飼料製造協会、大豆精油製造協会の会員および
大豆製品製造業者に厳しく制限されるとともに、これまでと同様に、政府が別
途定める価格で国産大豆の全量を買い取る義務が課せられている。

 大豆ミールについては、95年に15%であった関税率が96年から97年にか
けて 50 %へ引き下げられると同時に輸入割当数量が廃止されている。99年も 
5 %に設定されており、政府から指定を受ける者は、タイブロイラー加工輸出
協会ほか 4 団体で、大豆と同様に、政府が別途定める価格により国産大豆ミー
ルの全量を買い取る義務が課せられている。なお、上記団体以外が輸入する場
合は、119%の関税率などが課せられる。

 魚粉(たんぱく質含有量60%以上のもの)については、98年にトン当たり
350バーツ(約1,190円)の輸入課徴金が廃止される一方、関税率が 6 %から
15%に引き上げられている。99年も15%に据え置かれ、誰でも数量制限を受
けることなく輸入が可能となっている。


畜産農家の願いは飼料価格の安定

 米国や中国で飼料穀物の増産が伝えられる中、タイの99年のトウモロコシ生
産量も大幅に増加し、飼料価格は低下する見込みで、畜産農家にとっては朗報
となっている。しかし、今年の南米の穀物は減産が予測されるなど、今後、穀
物価格の予測は難しい状況となっている。畜産農家が求めているのは、生産コ
ストのかなりの部分を占める飼料価格の安定である。


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