◇絵でみる需給動向◇
豪州フィードロット協会(ALFA)は、4月下旬、ミート・アンド・ライブスト ック・オーストラリア(MLA)との共同調査による四半期ごとのフィードロット 飼養動向調査を公表した。これによると、99年3月31日時点での飼養頭数は、97 年から続く増加傾向を維持し、前年を2.6%上回る55万1千頭と調査実施以来の過 去最高を記録した。 ALFAによると、フィードロット飼養頭数全体の約6割を占める輸出向け、残り の国内向けともに好調な需要を反映し、飼養頭数は増加傾向にあるとみられてい る。
州別に見ると、雨不足により昨年同時期のフィードロット導入水準が高かった 東南部のニューサウスウェールズ(NSW)州とビクトリア(VIC)州では、前年 同期に比べそれぞれ11.1%、26.7%と大きく減少したのに対し、他州では軒並み 2ケタ増の高い伸びを示した。また、豪州では秋口に入り放牧シーズンも終盤を 迎えたことを反映して、VIC州では、前回98年12月期に比べ76.0%増、サウスオ ーストラリア(SA)州は同55.7%増、ウエスタンオーストラリア(WA)州につ いては同34.7%増と、大幅に増加した。このほか、全体の4割強を占めるクイン ズランド(QLD)州は、前回比1.4%増、全体の3割強を占めるNSW州では、同2.4 %増と比較的低い伸びにとどまったものの、総じて前回調査時よりも増加した。
こうしたフィードロット飼養頭数が増加傾向にある要因として、今季の夏場は 降雨に恵まれたことから飼料穀物価格が低価格で推移し、フィードロットへの素 牛導入を後押ししていることが挙げられる。今後も十分な降雨が予想され、大麦 など冬作穀物の作付面積の拡大が報告されていることもあり、ALFAでは、引き 続き飼料穀物の安値と日本や豪州国内からの需要増を背景に、次回6月期の調査 では今回に比べ5.8%増の58万3千頭になると予測している。
一方、放牧地の状態が良く、折りからの肉牛価格の回復も重なり、草地での放 牧肥育も増頭傾向にあることから、肉牛価格は肥育用の若齢牛を中心に値上がり 傾向にある。また今年に入り、米国向け牛肉輸出の本格的な回復や、東南アジア 向けを主とする生体牛輸出頭数がアジア経済危機前の水準に回復しつつあるなど、 肉牛需給は一気に引き締まる様相を呈している。このため、経産牛価格を含めた 全体の肉牛市況は前年同期の価格水準よりも2割〜4割程度上回って推移しており、 導入頭数を左右する素牛価格が上昇基調にある。 さらに、最近の為替相場を見ると豪ドルが米ドルに対し高値基調で推移してい ることなどから、これらフィードロット導入へのマイナス要因に対し、今後どこ まで導入頭数を伸ばすことができるか注目される。 州別フィードロット飼養頭数 資料:ALFA/MLA「National Feedlot Survey」 注:( )内は、98年対前年同期比、99年は対前回比
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