◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、99年第1四半期の全米の生乳生産量(速報値)は、 前年同期比3.3%増の1,836万トンとなった。これは、第1四半期の生乳生産量とし ては過去最高である。 ◇図:四半期別全米生乳生産量◇ 州別に見ると、上位10州では、ペンシルベニア州を除き、いずれも前年水準を 上回っており、近年生産の拡大が著しいアイダホやニューメキシコ州は、依然と して高い伸びを維持している。また、昨年の同時期に記録的な降雨に見舞われた カリフォルニアおよびワシントンの2州では、生産の伸びが大きくなっている。 99年第1四半期の州別生乳生産量および経産牛頭数 資料:NASS/USDA「Milk Production」
このような生乳生産の増加は、経産牛頭数の減少が小幅にとどまったことに加 え、経産牛1頭当たりの乳量の増加に負うところが大きい。主要20州の経産牛1 頭当たりの乳量(1ヵ月=30日として補正)を見ると、98年9月以降前年を上回 って推移しており、3月には前年同月比4.1%増の692kg/月となった。これは、 昨年後半からの記録的な高乳価と飼料穀物価格の低迷により、増産意欲を刺激さ れた酪農家が主に穀物の給与量を増加することで、生乳生産の拡大を図ったため とみられる。 ◇図:主要20州の経産牛1頭当たり乳量◇
98年末から生産が拡大した生乳は、消費が好調なチーズだけでなく、国内需要 が比較的弱いバターや脱脂粉乳の生産までも増加させている。この結果、チーズ の卸売価格が急落したほか、バターおよび脱脂粉乳の価格低迷と在庫増加をもた らしている。3月始めのバターの民間在庫量は、前年同月の2倍以上の水準に当た る4万3千トンに達した。こうした中、生乳農家販売価格が下降を続けており、 4月には前年同月比7.1%減の13ドル/100ポンド(34.7円/kg:1ドル=121円) と97年11月以来1年5ヵ月ぶりに前年を下回った(左図参照)。業界紙によると、 4月に入って乳用経産牛のと畜が増加しているとされており、今後近いうちに生 乳生産の拡大傾向に歯止めがかかるものとみられている。
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