◇絵でみる需給動向◇
豪州フィードロット協会(ALFA)とミート・アンド・ライブストック・オース トラリア(MLA)の共同調査によるフィードロット飼養動向調査(四半期ごとに公 表)によると、98年12月31日現在のフィードロット飼養頭数は、前年を12.8%上 回る50万 5 千頭となった。フィードロット飼養頭数は、前回調査(98年9月30日) では45万5千頭まで落ち込んだものの、今回調査では再び50万頭台まで回復し、 前回調査時の予測を 2 万 2 千頭上回ることとなった。 また、収容能力は、1万頭以上を収容するフィードロット施設の増加により、 これまでの最高の89万 9 千頭に達し、その稼働率についても前年同期を 5 ポイ ント上回る56%となった。 ◇図:フィードロットにおける飼養状況◇
州別の飼養動向を見ると、豪州全体の飼養頭数の過半を占めるクインズランド 州が、前年を14.4%上回る25万1千頭に、続くニューサウスウェールズ州では同 5.7%上回る18万9千頭となった。これら主要州以外で大幅な増加が見られたのは サウスオーストラリア州で、前年の約2.4倍の 2 万 6 千頭となった。 一方、ビクトリア州は前年を21.1%下回る2万 1 千頭となり、他州が増頭傾向 を示したのに対し、唯一減少した。同州では、良好な天候が続いたことによる牧 草の生育状況が特に良かったことから、生産者が子牛をフィードロットに出荷ま たは預託せずに保留する動きが強まったためとみられる。 州別フィードロット飼養頭数 資料:ALFA/AMLC、ALFA/MLA「National Feedlot Survey」 注:( )内は、98年は前年同期比、99年は前回調査比
総体的にフィードロットの飼養頭数が増加した要因としては、第1に、飼料穀 物価格の軟化により、生産コストが低下していることが挙げられる。近年の豪州 における飼料穀物価格の推移を見ると、94年後半から95年にかけての干ばつによ る価格暴騰の後、一転して軟化基調にあり、98年第3四半期の大麦、ソルガムの 価格は、それぞれ前年同期に比べ36.9%、23.4%の大幅な下落を示している。 ◇図:飼料穀物価格の推移◇ 第2に、最近の豪ドル相場が、日本向けの一般的な取引通貨である米ドルに対 し比較的安価で推移していることも一因に挙げられ、これが日本向け牛肉輸出の けん引役になっているとされている。
ALFAでは、フィードロットの経営環境を好転させるこれらの要因が、今後も継 続するとし、次回調査の99年3月期のフィードロット飼養頭数については、今回 調査に比べ1.2%増の51万 2 千頭程度になると見込んでいる。
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