◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)が1月29日に公表した調査結果によると、99年1月1日現在 の全米の牛総飼養頭数は、前年と比べて1.2%減の9,852万頭となった。90年に底 を打ったキャトルサイクル(肉用牛経営の収益性の変化がもたらす循環的な牛群 消長)は、6年後の96年にピークに達し、その後下降局面に入っている。98年夏 に主要生産地域のテキサス、オクラホマ州を襲った干ばつなどにより、牛群縮小 が加速するとしていた多くの専門家の予想に反し、飼養頭数の減少率は過去2年 (97年:1.8%減、98年:1.9%減)と比較して縮小している。 ◇図:牛の総飼養頭数の推移◇ 牛の総飼養頭数(99年1月1日現在) 資料:NASS/USDA「Cattle」 注:1)500ポンド以上、2)500ポンド未満の子牛 飼養頭数の内訳を肉用牛部門について見ると、肉用繁殖雌牛(経産牛)は同1.2 %減の3,347万頭、一方、更新用の未経産牛は同3.7%減の555万頭と経産牛に比べ 減少率が大きくなっているが、いずれも前年と比べて減少率は縮小している。
98年の子牛生産頭数は、98年 7 月の前回発表の予測値を上回る前年比1.0%減、 実数で38万頭減の3,858万頭となった。特に 7 割以上の子牛が生産される時期に 当たる98年 1 〜 6 月の子牛の生産頭数は、前年同期比0.7%減の2,840万頭とわ ずかな減少になっている。 子牛生産頭数の推移 資料:NASS/USDA「Cattle」
当初、キャトルサイクルは99年を底に上昇に転ずるとの見方が強かった。しか し、予想外のUSDAの発表を受けて、一部専門家からは総飼養頭数の減少、特に子 牛の生産頭数の減少が小幅にとどまったことから、生産拡大を刺激する重要な要 素である肥育素牛や肥育牛の価格回復が、遅れる可能性を懸念する声が出ている。 このため、さらなる繁殖雌牛のとう汰が99年も引き続き行われるとみられており、 今後の肥育素牛や肥育牛価格の動向が注目されている。
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