◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、98年のブロイラー生産量(可食処理ベース)は、 前年比2.2%増の1,264万トンとなり、過去最高であった前年を上回った。好調な 国内消費と輸出の急拡大を背景として一貫して増加してきたブロイラー生産は、 90年代前半には前年比7%前後の高い伸びを示してきた。しかし、近年はドル高 による海外市場での価格競争力の低下などから、生産拡大を支えてきた輸出の伸 び悩みが目立っている。これに加えて、98年後半に最大の輸出先であるロシアの 経済状況悪化により、同国向けの輸出が大幅に減少した。こうした状況の中で、 ブロイラー生産の伸びは94年をピークに徐々に鈍化している。 ◇図:ブロイラーの生産量と輸出量◇
懸案であった鶏肉のロシア向け援助輸出については、 2 月 3 日、USDAから米・ ロシア政府間で合意された旨の発表がなされ、今後5万トンの鶏肉が輸出される こととなった(詳細はトピックス参照)。USDAは、PL480号タイトルT(低利融資 による輸出プログラム)を通じた民間部門によるさらなる鶏肉援助輸出を検討し ているが、その数量は最大でも、98年前半の輸出実績の3ヵ月分に相当する20万 トン程度にとどまるとみられている。大幅に落ち込んでいる民間ベースのロシア 向け輸出は、ロシア経済の危機的状況からの脱却について目途が立っていないこ となどから、先行き不透明な状況が続いている。 さらに、ブラジルの通貨切り下げによる同国産ブロイラーの国際競争力の強化 が見込まれることから、米国産ブロイラーの相対的な競争力の低下が懸念される など、輸出を取り巻く環境は、ますます厳しくなっている。
これとは対照的に、米国内の鶏肉消費は、引き続き好調に推移するとみられて いる。米国の鶏肉業界団体の調査によると、ブロイラーの仕向け先別販売量が最 も多い小売り向けは、シェアを年々低下させており、97年は39.2%となっている。 しかし、ブロイラーを使用したホーム・ミール・リプレイスメント(HMR)の販売 拡大などにより、販売量は確実に増加している。一方、フードサービス向けの販 売量は、ファストフード向けを中心に年々増加してきたものの、97年のシェアは 32.3%と小売り向けに比べてその勢いは鈍化している。 USDAでは、99年のブロイラー消費量(可食処理ベース)を前年比6.8%増の1,1 07万トンと予測している。 ◇図:ブロイラーの仕向け先別販売量◇
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