◇絵でみる需給動向◇
豪州酪農庁(ADC)によると、97/98年度(97年 7 月〜98年6月)のチーズの 生産量は、前年度を5.4%上回る30万 5 千トンとなった。 チーズ生産は、国内外の需要の拡大に伴い90/91年度以降一貫した増産傾向に あり、乳製品の中で最も生産拡大が著しく、ここ7年間で70%を超える高い伸び を示してきた。
チーズの種類別の生産動向を見ると、97/98年度では総生産のおよそ6割を占 めるチェダータイプ(プロセスチーズを含む)が前年度を6.8%上回る18万 8 千 トン、カッテージやクリームチーズなどのフレッシュタイプが前年度を19.7%上 回る 4 万 3 千トンと順調な伸びを示した。一方、国内外でピザ用などの需要が 減少していることを反映し、シュレッドタイプは前年度を5.8%下回る 4 万5千 トンとなった。 また、低脂肪チーズへの国内需要が高まりつつある最近の傾向を反映し、豪州 国内で販売されるチーズのおよそ20%は、低脂肪チーズが占めているとされる。 ◇図:国別チーズ輸出量の推移◇
こうしたチーズ生産の拡大には、日本向けを中心とした輸出増が大きく貢献し ている。97/98年度のチーズ輸出量は、前年度を19.6%上回る14万9千トンとな った。このうち46%を占める最大の輸出先である日本向けは、前年度を15.7%上 回る 6 万 8 千トンとなり、最高記録を更新することとなった。これまでの主力 品目であったチェダータイプのほか、クリームチーズ、モツァレラなどの輸出が 伸びているとされる。ADCによると、これは日本において、近年イタリア料理がブ ームとなっていることや、若年層の食習慣によるところが大きいとしている。 また、日本に次ぐ伝統的な輸出市場であるサウジアラビア向けについても、チ ェダータイプが増えたことにより、前年度を25.5%上回る 1 万 2 千トンとなっ た。このほか、北アフリカ諸国向けが目覚しい拡大を見せており、97/98年度の 輸出量は、 6 千トンと数量は少ないものの前年度の 8 倍近い水準まで急増した。 ◇図:タイプ別のチーズ生産の推移◇
豪州農業資源経済局(ABARE)が昨年末に発表した需給見通しによれば、98/99 年度のチーズ生産はこれまでの伸びに比べるとかなり鈍化し、前年度に比べ1.3% 程度の微増にとどまるとみられている。しかし、輸出については引き続き好調が 期待できるとして、前年度に比べ10.7%の増加が見込まれている。
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