◇絵でみる需給動向◇
ニュージーランド家畜改良公社(LIC)によると、97/98年度(97年 6 月〜98 年050月)の酪農家1戸当たりの平均経産牛飼養頭数は、前年度を12頭上回る220 頭となった。 1戸当たりの飼養頭数は、70年代から一貫して増加基調にあり、97/98年度は 20年前の77/78年度と比べて、約 2 倍の規模となっている。 ニュージーランドの酪農は放牧主体であるため、設備投資、投下労働力などを 極力押さえた生産構造であることが、こうした規模拡大を容易とする一因と考え られる。 ◇図:酪農家 1 戸当たりの経産牛飼養頭数の推移◇
飼養頭数規模別の酪農家戸数を見ると、経産牛頭数が150〜199頭の階層に属す る酪農家が3,320戸と最も多く、戸数全体に占めるシェアは22.6%であった。これ に続く層は、100〜149頭の3,138戸、200〜249頭の2,412戸となっている。 しかし、戸数全体の約 3 割を占める飼養規模149頭以下の階層は、いずれも戸 数が前年度を下回っており、中でも10〜49頭の零細規模の酪農家戸数は、前年度 を15.5%下回る245戸と最大の減少幅となった。一方、飼養規模150頭以上の階層 では、すべての階層において前年度を上回っており、そのうち特に大幅な伸びを 示したのは、450〜499頭、500頭以上の層で、それぞれ前年度に比べ29.9%、26.1 %の増加となった。 ◇図:飼養規模別酪農家戸数◇ 300頭以上の経産牛を飼養する酪農家戸数の全体に占める割合を見ると、80/81 年度はわずか1.5%であったが、97/98年度は18.6%となった。これは、特に90/ 91年度以降、乳製品の輸出環境が比較的良好で、乳価も生産を刺激する水準で推 移したことから、目覚しい規模拡大が行われたと考えられる。
先ごろ、ニュージーランド政府関係者が、今後10〜15年の間に、中小規模を中 心とした酪農家戸数が、現状レベルから4割近く減少するとした大胆な見通しを 発表した。これは、今後、海外市場で価格競争に打ち勝つためには、2010年まで に、 1 戸当たりの飼養頭数が少なくとも280頭は必要であるという推計に基づい たものとしている。このため、これまで一貫して拡大基調にある飼養規模は、今 後も、中小規模の衰退とともに一層伸展していくものと考えられている。
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