◇絵でみる需給動向◇
行政院農業委員会(農業省に相当)と台湾省政府農林庁が年2回、共同で行っ ている豚の飼養動向調査によると、98年11月末現在の豚飼養頭数は653万 9 千頭 となり、前回調査時点(98年 5 月末)と比較して8.2%の減少となった。これを 97年3月の口蹄疫発生直前の96年11月末時点と比較すると38.9%もの大幅な減少 となっている。 口蹄疫発生後、4回目となる今回の調査では、飼養頭数の減少幅が前回調査時 点よりも2.4ポイント小さくなっている。これは、口蹄疫発生後の混乱期を経て、 養豚業界の減産への取り組みが次第に終息に向かいつつあることを示すものと思 われる。政府は全国の豚飼養頭数を、生産・販売のバランスを図るために600〜7 50万頭にまで削減することを当面の目標としてきたが、今回の調査結果はこれを 十分に達成していることから、今後も減少基調が続くことは予測できるものの、 その減少幅はさらに小さくなっていくことが予想される。
豚のタイプ別に飼養動向を見ると、他のすべてのタイプの飼養頭数が前回値を 下回る中、未経産豚のみが10.7%の増加を見せた(未経産豚は98年5月末現在で は、前回比24.8%減と繁殖豚の中でも最も減少した)。また、前回、肥育豚の中 で20.6%減と最も減少幅が大きかった哺乳豚については、今回は減少率が鈍化し ている(6.1%減)。 こうした動きは、養豚離農が進む一方で、昨年 9 月上旬に 2 年ぶりに市場最 高値を更新した高水準の豚価に刺激されて、体力のある経営体がさらなる利潤を 求めて豚群を増やそうとする動きを見せ始めていることを反映していると考えら れる。 豚飼養頭数 資料:台湾省政府農林庁
昨年末から上昇に転じた肉豚卸売価格は、99年1月末には上げ止まったものの、 2月上旬の段階でほとんどの市場で生体100kg当たり 6 千元台後半〜 7 千元台前 半( 1 元=約3.5円)の高水準で推移している。2月の中旬には年間で最も需要 が盛り上がる「春節」(旧正月)を迎えることから、豚価はしばらくの間は高値 安定で推移すると思われるが、こうした高豚価が今後の飼養動向にも影響を及ぼ すものとみられる。 ◇図:肉豚卸売価格の推移◇
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