米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○肥育豚価格、底を打つも依然低水準で推移


底を打った肥育豚価格

 米農務省(USDA)によると、99年1月の肥育豚価格(アイオワ州南部およびミ
ネソタ州の相対取引価格、推定値)は、前月から10.6ドル高、前年同月比25.6%
安の26.5ドル/100ポンド(66.6円/kg:1ドル=114円)となった。週別の動き
を見ると、98年12月第3週に一時10ドルを割り込んだが、翌週には10ドル台に回
復し、99年 1 月第 2 週には28.5ドルにまで急伸した。わずか 4 週間で約 3 倍
の水準にまで値を戻しており、2月に入っても28ドル前後で推移していることか
ら、長く下落が続いていた肥育豚価格も底を打ったものとみられている。

◇図:肥育豚価格◇

 肥育豚価格の反発は、1月初めに中西部を襲った猛吹雪により肥育豚の出荷・
処理量が減少したこと、量販店の特売が低価格の豚肉に集中したことが契機とな
ったが、基本的な要因としては、前年を大幅に上回る水準で推移していた生産の
伸びが若干鈍化したことが挙げられる。また、先般、豚肉の5万トンのロシア向
け援助輸出が3月までに行われると発表されたこと(詳細はトピックス参照)も
好材料として働いている。


急速に進む生産構造の変化

 しかし、肥育豚価格は反発したものの、依然生産コストを下回る水準で推移し
ている。USDAによると、北部中央地区の養豚経営体(一貫生産)の収支は、97年
11月以降15ヵ月連続の赤字となっている。

 こうした厳しい状況の中で、肉豚生産の構造変化が加速化している。98年の養
豚経営体数は、前年比6.4%減の11万 4 千戸となった。これを94年と比較すると、
養豚経営体数は4年間で実に約2分の1に激減したこととなる。この間、減少し
た養豚経営体の約98%を飼養頭数1千頭未満の小規模経営体が占めている。この
結果、全飼養頭数に対して飼養規模2千頭以上の経営体が占める割合は、37.0%
(94年)から63.5%(98年)に拡大しており、これを年間の出荷頭数ベースでみ
れば、さらにこの割合は高まっているとみられる。

◇図:飼養規模別養豚経営体数◇


USDA、小規模経営体に対する直接支払交付申請の受付開始

 USDAは、危機的状況にある養豚産業に対する一連の支援策の1つとして、2月
1日から、小規模経営体に対して直接支払交付申請の受付を開始した。@98年下
半期の豚出荷頭数が 1 千頭未満、A養豚経営を継続していることの 2 つの条件
を満たす養豚経営体に対し、 1 経営体当たり 2 千 5 百ドル(28万 5 千円)を
上限として、過去の出荷実績に応じて支払われる。この事業による支払総額は5
千万ドル(約57億円)、交付対象は全養豚経営体の8割以上に上るものとみられ
ている。

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