増産が期待されるオーガニック食品(イギリス)


農業水産食糧大臣、オーガニック食品の増産支援強化を表明

 イギリスのブラウン農業水産食糧大臣は1月、同国最大のオーガニック食品認
証団体であるソイル・アソシエーションの会合で、国内におけるオーガニック食
品の増産に向けて支援を強化していくことを表明した。

 イギリスでは、94年から国で定めるオーガニック食品の基準に合致した農産物
の生産へ転換を図った生産者に対して、5 年間補助金を交付し、オーガニック食
品の生産を支援する措置を採ってきた。さらに、99年春からは、補助金の単価を
約2 倍に引き上げることが決定されている。


順調な国内消費に生産追いつかず、輸入に依存

 こうした措置の背景としては、近年、イギリス国内のオーガニック食品の消費
量が順調に増加する一方で生産が追いつかず、その約7割を輸入に依存している
ことが挙げられる。これは、現在のイギリスのオーガニック食品に関する支援措
置の水準が、他のEU加盟国と比較して低いことが影響しているとみられる。

 ソイル・アソシエーションが最近発行したイギリスのオーガニック食品に関す
るレポートによると、国内生産は、98年初めに約千戸の農家で10万5千ヘクター
ル(このうち6万ヘクタールはオーガニック農地へ転換中のもの)の農地がオー
ガニックとしての認証を受けている。ただし、認証された農地面積はイギリスの
農地全体の0.5%に過ぎず、近年増加しているもののEU平均の1.3%を大きく下回
っている。

 一方、国内消費を見ると、97年のオーガニック食品の売上高(小売)は2億6
千万ポンド(約497億円:1ポンド=191円)で食品全体の2%を占めている。売
上高は、93年の 1 億ポンド(約191億円)から一貫して増加している。また、こ
の傾向は今後も続くとみられており、2002年には食品全体の 7 〜 8 %を占める
10億ポンド(約1,910億円)の売上高が予想されている。主なオーガニック食品は、
野菜、果実等の生鮮食料品を中心に穀類や肉類および乳製品であるが、加工食品
や飲料およびベビーフード等も対象となっている。特にベビーフードについては
売上高に占めるオーガニックの割合が高く、全体の約 1 割となっている。


環境対策や動物愛護の側面からも支援を強化

 イギリスにおけるオーガニック食品の生産は、今後、消費者ニーズの拡大に加
えて、環境に対する負荷の軽減および動物愛護といった側面から支援措置の強化
が図られていくものとみられる。

 主なオーガニック畜産物の生産量の実績および見込みは次の通りである。

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 注:カッコ内は農家販売額(単位:百万ポンド)

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