98年農業所得は前年比3.9%減少の見込み(EU)


2 年連続の減少

 EU統計局は98年12月、EUの98年農業所得に関する見込みを公表した。これによ
ると、EU全体の98年農業所得は前年比3.9%減(物価変動調整後)と、 2 年連続
して減少することとなった。EUにおける近年の農業所得は、94年から前年を上回
って推移し96年には高水準の所得(90年および91年所得に比べ20%増)を記録し
たが、97年には減少に転じた(前年比2.7%減)。なお、98年農業所得は、90年お
よび91年所得と比べると依然として12%増となっている。

 加盟国別に見ると各国間で差が見られるものの、デンマーク(前年比22.3%減)、
イギリス(同16.4%減)をはじめ11カ国で前年を下回った。一方、スウェーデン
(同9.0%増)などの 4 カ国で前年を上回った。


最終農産物産出額、畜産物は豚価大幅下落などから前年を下回る

 一方、農業所得を算定する要素として最終農産物産出額について見ると、畜産
物は前年を7.2%下回った。これは、生産量が前年を1.3%上回ったものの、価格
が8.4%下回ったためである。また、産出額を品目別に見ると、品目ごとに差が見
られるもののすべての品目で前年を下回った。特に、豚肉は20.8%と大幅に下回
った。これは、96年 3 月の牛海綿状脳症(BSE)問題発生および97年のオランダ
などにおける豚コレラ大量発生などを背景として、急速な豚増産が図られる中、
EUの豚肉の主要輸出先である一部アジア諸国およびロシアでの経済危機発生に伴
い輸出が減少した結果、域内の豚肉需給が大幅に緩和したことが要因である。

 98年の畜産物産出額の対前年増減率は次の通りである。

 なお、穀物や生鮮野菜といった畜産物以外の作目は、ほぼ前年並み(前年を0.1
%下回る)となった。また、農業所得算定に関連する状況は次の通りである。

・飼料等の生産資材金額は減少
・補助金は減少(前年比6.2%減)
・減価償却費は前年並み
・農業労働者数は減少率がやや縮小したものの引き続き減少(前年比1.6%減)

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 注:産出額比率は農産物全体に占める比率


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