98年に豚価低落(中国)


98年 4 月の急落以降、安値続く

 中国の食肉生産の約7割を占め、最も重要な食肉として位置付けられる豚肉の
卸売価格の安値傾向が続いている。豚肉卸売価格の指標の一つとなる四川省成都
肉類産品卸売市場の99年 1 月下旬の冷凍枝肉および冷凍部分肉価格は 1 kg当た
り8.3元(約116円: 1 元=14円)、12元(約168円)となった。これを前年の同
時期と比較するとそれぞれ18.6%、20.0%の安い水準となっている。

 両品目の卸売価格は、97年は一貫して高水準を維持したものの、堅調な市況動
向に支えられた生産意欲の高まりによる供給過剰から、98年に入ると下落傾向を
示し、4月には97年のピーク時と比較して17〜20%下落した。卸売価格は、その
後は大きく変動することなく安値安定で推移している。

 一方、中国農業部(農業省に相当)が公表している子豚、肉豚および豚肉の小
売価格(全国平均)も、98年前半には卸売価格と同様に大きく下落している。小
売価格は同年 6 〜 7 月に底を打った後、夏場にやや反発したものの年末にかけ
て再び下落傾向で推移しており、98年12月には前年同月比でそれぞれ40.1%、19
.5%、15.6%安と大きな下落幅を示している。

◇図:成都肉類産品卸売市場価格の推移◇

◇図:肉豚および豚肉小売価格の推移◇


豚肉以外の主要食肉はわずかな下落

 豚肉以外の主要な食肉の小売価格動向を見ると、肉豚や豚肉のような大幅な価
格変動は見られない。しかし、98年12月の牛肉、羊肉および鶏肉の小売価格は、
前年同月比でそれぞれ3.7%、2.6%、1.2%とわずかに低下しており、豚肉以外の
食肉に関しても近年のおう盛な需要に後押しされた増産基調によって、需給にや
や緩和の兆しもみられる。

◇図:牛肉、羊肉、鶏肉小売価格の推移◇


豚肉価格、今後は上昇の予測も

 低迷している豚肉価格であるが、今後は上昇に向かうのではないかとの観測も
出されている。その根拠として現地報道は、第1に、98年上半期の豚肉価格の下
落により、種付頭数が減って出荷が減少傾向にあること、第2に、昨年夏季の大
水害によって、湖北、湖南、黒龍江の 3省だけでも150万頭の豚が溺死しており、
供給過剰基調が緩和されつつあること、第 3 に、 2 月中旬の春節(旧正月)に
向けて消費が盛り上がることなどを報じている。また、最近の主要生産地におけ
る調査によると、養豚経営の収益性を測る目安となる食糧と豚肉の価格比が、お
およその基準である 1 :5.5に対して 1 : 5程度の地域が多いことから、今後、
短期的には豚肉の供給量が拡大する可能性は小さいものと思われる。


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