99年の鶏卵生産は減少の予測(タイ)


採卵鶏の飼養羽数、前年比 7 %減

 タイの鶏卵業界団体が発表した99年の鶏卵などの需給動向予測によると、採卵
鶏の飼養羽数、生産量、国内消費量、輸出量はいずれも減少するとみられている。

 採卵鶏の飼養羽数は、鶏卵生産費の約7割を占める飼料費が高値で推移してい
ることや、中規模養鶏農家の規模縮小や廃業が増加していることから、前年比7.0
%減の約 4 千万羽と予測されている。その結果、99年の鶏卵生産量は前年比7.3
%減の76億 5 千万個と、かなり減少するものとみられる。

 また、鶏卵消費量は、小売価格の上昇で 1 人当たり年間消費量が98年の132個
から123個に減少するとみられることから、全体では前年比6.6%減の76億個と予
測されている。


鶏卵輸出予測、前年比55%減

 輸出量については、98年は通貨バーツの下落により前年の 2 倍以上の 1 億1
千万個となったが、目標の3億個を大きく下回る結果となった。これは、輸出量
の増加に伴い、一時的に国内流通量が減少したため卸売価格が上昇したことや、
昨年後半からバーツの為替レートが上昇したことなどから、輸出価格が上昇した
ことによる。

 一方、99年の輸出量については、最近の輸出価格が1個当たり1.6バーツ(約5.1
円: 1 バーツ=約3.2円)程度で推移しているのに対して、競争相手国である米
国やオランダなどは、1.1バーツ(約3.5円)程度で輸出していることから、主要
な市場である香港や中東諸国向けが大幅に減少するものと見られており、99年の
輸出量は前年比54.5%減の 5 千万個と予測されている。


鶏卵業界団体は生産減少防止策を展開

 鶏卵卸売価格は、生産農家が輸出量の減少に伴い国内市場への出荷を増やすと
みられていることや、上昇していたひな価格が前年並みで推移するとみられてい
ることを反映して、1個当たり1.55バーツ(約 5 円)と前年比7.2%安になると
予想されている。しかし、小売価格については、依然高水準で推移するとみられ、
前年比2.9%高の1.75バーツ(約6.1円)と予想されている。

 こうした状況から、鶏卵業界団体では国際競争力を維持するため、生産コスト
削減のための補助金や、粉卵などの加工品を製造する機械の導入に対する補助を
政府に対して要求するなど、輸出市場の確保と新市場の開拓による、国内生産量
の減少防止に懸命となっている。


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