ロシアへ鶏肉 5 万トンなどの追加援助を発表(米国)


米・ロシア、鶏肉および種子の追加援助で合意

 グリックマン農務長官は、2月 3 日、昨年12月末に合意したロシアへの約300
万トンの食糧援助に続き、鶏肉 5 万トンおよび種子1万 5 千トン(トウモロコ
シ1万 4 千トン、野菜 1 千トン)のロシアへの追加援助に合意したと発表した。
今回の追加援助は、グリックマン農務長官が1月末にロシアを訪問した際に議論
されたものである。

 当初ロシアは、自国の農業生産建て直しのため、トウモロコシおよび野菜の種
子の援助を要請し、鶏肉については援助希望品目に挙げていなかった。しかし、
米国産鶏肉の最大の輸出相手国であったロシア向けの輸出量が、昨年9月以降大
幅に落ち込んだため、鶏肉業界が大きな影響を受けていることから、米農務省(US
DA)側が5万トンの鶏肉の援助輸出を提案し、結果的にロシアがこれを受け入れ
る形となった。


米側はさらなる鶏肉の追加援助を検討

 これにより、 5 万トンのもも肉を中心とする鶏肉 3 千万ドル(約34億円:1
ドル=114円で換算)相当が、政府間によるPL480号タイトルT(低利融資による
輸出プログラム)に基づき輸出さことになる。加えて、鶏肉輸出に係る輸送コス
ト550万ドル(約6億 3 千万円)についても、同プログラムによる融資対象とな
った。援助輸出された鶏肉は、ロシア市場で販売され、その収益はロシア年金基
金に配分されることとなっている。

 また、グリックマン農務長官は、鶏肉のさらなる追加援助を検討していること
を明らかにしているが、これが実現すれば、民間部門によりPL480号タイトルTを
通じて最大20万トンの鶏肉が輸出されることになると米国鶏肉業界などは期待し
ている。


ロシア向け援助輸出は 2 月から開始予定

 一方、USDAが昨年12月末にロシアと合意した300万トンの食糧援助については、
今回の合意に伴いその内容が一部修正され、 2 月から小麦150万トンの無償援助
のほか、PL480号タイトルTなどに基づく農畜産物150万トンの食糧援助に係る輸
出が開始される予定となっている。その対象品目は、牛肉12万トン、豚肉5万ト
ン、脱脂粉乳 3 万トンのほか、トウモロコシ50万トン、大豆・大豆ミール50万ト
ンなどとなっており、豚肉は 3 月までに、また、牛肉は 7 月までに、その全量
がロシアへ輸出されるものと見込まれている。

 この結果、ロシアは、米国、EUの双方から合計約500万トンの食糧援助を受ける
ことになるが、非公式にさらに500万トンの追加食糧援助を希望しているともいわ
れており、今後のロシアの食料事情によっては、さらなる援助が行われる可能性
もある。


食糧援助をめぐる問題点も浮上

 このような中、ポーランドは、ロシアのポーランド産豚肉買入数量の減少によ
り、国内の豚肉価格が急落していることから、米国、EUに対して、ロシアへの食
糧援助について、事前に協議するよう求めるなどの動きも出ている。

 USDA監察総監室の報告書によれば、92年に合意された米・ロシア間の食糧援助
の際には、その67%に横流しなどの不正が認められたとしており、今後、USDAは、
ロシア国内における援助物資の監視体制の確立などを求められることになる。

元のページに戻る