豪州の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○高水準の牛肉生産


80年以降で最高水準に

 豪州統計局(ABS)によると、98/99年度上半期(98年 7 月〜12月)の牛肉生
産量(枝肉重量ベース。バッファロー肉を含み、子牛肉を含まない)は、前年同
期を3.5%上回る99万 2 千トンと、80年以降では最高の水準となった。

 州別に見ると、全生産量の約45%を占めるクインズランド(QLD)州で、前年
同期を9.4%上回る44万 8 千トンとなったほか、ビクトリア(VIC)州、ウエスタ
ンオーストラリア(WA)州において、前年水準をかなり上回ることとなった。

◇図:州別の上半期牛肉生産量の推移◇


と畜頭数増や枝肉重量増が背景

 こうした生産増の背景には、と畜頭数の増加が挙げられる。98/99年度上半期
の牛と畜頭数は、前年同期を1.0%上回る403万8千頭となった。豪州南東部におけ
る97年後半からの干ばつの影響で牛群の縮小が進んだとされているが、降雨に恵
まれ天候が回復した98年後半に入ってからも、輸出市場が好調なことなどから依
然高いと畜水準を維持している。特に、98/99年度上半期の成牛全体に占める雌
牛と畜頭数の割合は、前年同期に比べ3.5ポイント増の51.3%と、記録的な高水準
になった。

 さらに、 1 頭当たりの枝肉重量が増加していることも生産増の背景の一つに挙
げられる。98/99年度 7 〜11月までの平均枝肉重量は、前年同期から 8 kg増加し
て248kgとなり、ここ数年来の微減傾向に歯止めがかかった。

◇図:成牛全体に占める雌牛と畜頭数の推移◇


堅調な肉牛価格がと畜増に影響

 一方、肉牛価格は、と畜頭数の増加にもかかわらず、おおむね堅調に推移して
いる。特に経産牛価格については、米国向けなどの輸出が好調であることから、
97年3月以降、前年水準に比べおおむね 2 ケタ増の上昇がみられる。こうした肉
牛価格の上昇も最近のと畜頭数の増加に影響していると考えられる。


下半期は牛肉生産、と畜ともに減少見込み

 一方、3月中旬に開催された99年農業観測会議において、98/99年度通年の牛
肉生産量(枝肉重量ベース)は、前年を4.8%下回る186万 2 千トンと見込まれて
いる。これは、下半期(99年 1 〜 6 月)に入って、天候が比較的良好に推移して
いることや、生産者が牛群立て直しのため出荷を見送り、肉牛を保留する動きが
顕著になると見込まれているからである。このため、同年度のと畜頭数について
は前年度を7.8%下回るとみられており、下半期は上半期とは状況が一変すること
が予想される。

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