世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○米国のトウモロコシ作付予想面積、前年実績を2.5%下回る


96年農業法施行後、初の前年水準割れ

 米農務省(USDA)が、3月31日に発表した作付意向調査によれば、トウモロ
コシは3,165万ヘクタールで、前年の作付実績を2.5%下回るものと予想されてい
る。トウモロコシの作付面積は、従来の作付制限や減反を廃止した96年農業法の
施行以降、毎年前年を上回って拡大を続けていたが、輸出不振による価格低迷な
どから、生産者が作付けを減らす方向に動いているものとみられる。

 トウモロコシの価格(シカゴ相場、先物、期近価格の月末終値)は、98年2月
以降、毎月前年割れの水準で推移しており、98年8月には実質的な下限価格とさ
れてる価格支持融資制度(注)のローンレート(融資単価)の水準(1.89ドル/
ブッシェル)を下回った。

全米および主要州におけるトウモロコシの作付面積
grain04.gif (4722 バイト)
 資料:NASS/USDA「Prospective Plantings」


最大の生産州、アイオワ州で1.6%のマイナス

 作付面積の上位5州(全体の約 6 割を占める)の動向を見ると、最大のトウモ
ロコシ生産州であるアイオワ州(シェア15.7%)は498万ヘクタールで、前年実績
を1.6%下回った。これに次ぐイリノイ州(同13.8%)と 5 位のインディアナ州
(同7.5%)では、それぞれ前年を1.9%および1.7%上回ると予想されているが、3
位のネブラスカ州(同11.0%)および 4 位のミネソタ州(同8.9%)では、それぞ
れ前年を2.3%および4.1%下回る結果となっている。


大豆の作付面積は、前年に引き続き拡大

 一方、大豆については、前年水準を1.0%上回る2,959万ヘクタールと予想され
ており、これが実現した場合、史上最大の作付面積となる。伸び率は、前年(3.
4%増)と比較すると鈍化したものの、トウモロコシと同様に価格が低迷してい
るにもかかわらず、作付意欲は衰えていない。その理由としては、除草剤に耐性
を有する大豆に代表される遺伝子組み換え品種の普及などによるコスト削減が図
られていること、また、大豆のローンレートが比較的高い水準(5.26ドル/ブッ
シェル)に設定されていることなどが挙げられている。


今後の作付けの進ちょく状況に注目

 トウモロコシ作付けの進ちょく状況(4月 4 日現在)は、ジョージア州で74%、
テキサス州で51%と、南部諸州でかなり進んでいるものの、主要生産地であるコ
ーンベルト地帯では、まだ手付かずの状態であり、生産者は、今回発表された意
向調査結果も含めて、今後作物を選択し、作付けを実施していくことになる。作
付けする上で競合する大豆については、トウモロコシに比べてコスト面でより大
きなメリットがあるとの指摘もあるものの、主要輸出国であるブラジル、アルゼ
ンチンの輸出増加が予測されるなど、さらに価格が下がることも有り得る。また、
天候という不確定要因も残されていることから、今後の動向に注目したい。

(注) 価格支持融資制度

 生産農家が農産物を担保に商品金融公社(CCC)からローンレート(過去の市
場価格を基に算出)での融資を受ける制度。市場価格がローンレート(+利子)
を上回るときは、農家は、融資額と利子を返済し、農産物を市場で販売するため、
市場流通量が増加して価格は下がる。一方、融資期限(9ヵ月間)が来ても、市
場価格がローンレート(+利子)を下回るときは、農家は、担保の農産物をCCC
へ引き渡すため、市場流通量が減少して価格は上昇するという仕組み。

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