米国産トウモロコシの輸入検疫条件の改定を提案


畜産業界からの検疫条件緩和を求める声が背景

 豪州検疫検査局(AQIS)は、3月19日、主に家畜飼料として使用される米国産
トウモロコシに対する輸入検疫条件を改定する具体案を公表した。

 豪州で生産されるトウモロコシは、大部分が国内で飼料用等に利用されている
ものの、気象および土地条件の制約からその生産量は少ない。このため、家畜飼
料用の穀物としては、主に麦類・ソルガムなどが利用されている。また、豪州の
穀物生産は干ばつなどの気象変動の影響を受けやすく、不作の年は需給ひっ迫に
より価格が大幅に上昇する。こうしたことから、AQISは、かねてからトウモロコ
シを含む飼料穀物の輸入検疫条件の緩和を畜産業界などから強く求められていた。

表:豪州の主要穀物需給(98/99年度予測)
kokumotu.gif (3803 バイト)
 資料:ABARE「CROP REPORT」


現行条件では輸入困難

 豪州における農作物の輸入検疫条件は極めて厳しく、飼料用トウモロコシを輸
入する場合には、AQISが指定する地域(輸入港周辺)の工場で加熱殺菌・加工処
理(薫蒸・粉砕など)を行うことなどを含む、詳細な諸条件が定められており、
施設やコストの面から適宜十分な量の輸入を行うことが困難な状況となっている。


米国からの輸入を想定した条件改定案

 このためAQISは、米国からのトウモロコシの輸入を想定して、病原菌、害虫、
雑草侵入等の危険性に関する調査研究を行ってきたが、今回その結果を基に改定
案が作成された。

 AQISが提示した条件は以下の通り。

@病害の少ない米国北部産のものに限定すること

A米国穀物品質規格でグレード 2 以上の品質のものとすること

B米国北部太平洋岸の輸出港で船積みすること

C輸出港湾地区の加工施設において、AQISにより定められた加熱殺菌等の加工処
 理を行うこと

D加工処理後は定められた温度・湿度条件を維持すること

E米農務省動植物検疫局(APHIS)または同穀物検査局(FGIS)の係官が加工処
 理後のサンプルを採取し、AQISに空輸して適切な加工処理が行われたかどうか
 の検査を受けること(AQISの合意があれば上記のいずれかの機関が米国内で検
 査することも可能とする)

F船積み前は他の貨物から隔離して保管すること

G保管倉庫から港までの運搬は定められた条件に従うこと

HAPHISはAQISに植物検疫証明書を発行すること

I本船の衛生管理については船積み・出港前にFGISが検査・証明すること

J本船到着後はAQISが現品検査を行い、事前サンプル検査の結果と相違ない旨を
 確認した上で検疫地域から出荷すること

となっている。


反発の姿勢を示す畜産業界

 これに対し、豪州フィードロット協会(ALFA)を中心とする畜産業側は、改定
案の内容では現実的な輸入は不可能であると反発している。

 今後、AQISは、 5 月18日まで改定案に対する各界の意見を受け付けるとしてお
り、畜産業界側からの具体的な反論が注目されている。

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