豚からの新種ウィルスによる疾病が発生(マレーシア)


日本脳炎とは別の新種ウィルスを確認

 マレーシアでは、昨年10月頃からマレー半島中部ペラ州の養豚場などで日本脳
炎と見られる疾病が発生し4月6日までで、養豚関係者を中心に89人の死亡が報
告されている。当初は日本脳炎の流行と考えられたため、住民と豚に同ワクチン
を接種したり、畜舎周辺の清掃や、この病気を媒介する蚊の撲滅のため殺虫剤散
布を行うなどの対策が採られていた。しかし、 3 月19日、マレーシア保健省によ
り日本脳炎ウィルスと別の新種ウィルス発見の発表があり、米国疾病対策センタ
ー(CDC)によって新種ウィルスの存在が確認された。マレーシア当局は、被害
の一部は新しく発見されたウィルスが原因との見解を明らかにしており、豚の処
分を急いでいる。処分の対象となる豚は、マレーシアの全飼養頭数の 3 分の1に
当たる85万頭に上ると言われている。


消費者の間で急速に豚肉離れが進む

 発生地の近くでは、養豚場の経営者がこれらの病気で死亡したとのニュースが
流れると人口の 8 割が他の地域に避難した村や、病気のまん延を防止するため、
数日間の学校閉鎖や、蚊の活動時間である早朝を避けるため始業時間を 2 時間遅
らせるなどの対策を採った小学校もあるという。

 同国政府による、豚肉からの感染は通常の調理が行われている限り起こらない
という発表にもかかわらず、消費者の豚肉離れが起こっている。小売価格が30〜
40%も低下するなどの影響も出ている。


養豚業界は政府への多角的な援助を要求

 養豚農家では、当初日本脳炎と考えられたことによるワクチン接種費用のほか、
患畜のとう汰などが大きな損失となっている。このため、業界では政府に対して、
資金的な援助および健康が確認された豚の出荷を求めている。

 なお、日本政府はマレーシアに対して4月上旬、15万ドルの資金援助を行った。

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