USDA、FMMO制度改革の最終規則を発表(米国)


FMMO制度は米国酪農制度の根幹の 1 つ

 連邦ミルク・マーケティング・オーダー(FMMO)制度は、加工原料乳の価格
支持制度とともに、米国の酪農制度の根幹を成す制度である。この制度は、33年
農業調整法において許可制度の形でスタートし、35年農業調整法を経て、37年農
産物取引協定法において長期的な制度としてその仕組みや規定が整備され、現行
制度が確立された。

 FMMO制度は、変動しやすい生乳価格を安定させることにより、生産者に対し
て安定的な市場を提供するとともに、消費者に対しては、合理的な価格で十分な
量の良質な飲用牛乳を供給することを目的としている。このため、農務長官が特
定の地域を対象としたマーケティング・オーダー(行政命令)を公布し、オーダ
ー(特定の地域)内で取り引きされる飲用規格生乳に対して用途別の最低取引価
格を設定するとともに、生産者へのプール乳価での支払いを義務付けている。


96年農業法に基づきFMMO制度を改革

 米国の農業政策を市場志向型に大きく転換することとなった96年農業法は、酪
農制度については、加工原料乳価格支持制度の段階的廃止と、現在31あるミルク・
マーケティング・オーダー(地域)を10〜14に統合することなどを規定した。そ
の時期について、加工原料乳価格支持制度の廃止は99年末、FMMO制度の改革は
99年 4 月までに実施することと定められている。

 米農務省(USDA)は、98年 1 月、本制度の選択肢付きの改革案を提示したが、
この改革案に対して一般から約4,500に上る意見(コメント)が提出されたため、
昨年秋、議会が実施期限を99年10月 1 日まで延ばすという決定を下していた。


オーダー地域を統合し、乳価算定方式を抜本的に変更

 こうした中、USDAは3月31日、FMMO制度改革の最終規則を発表した。最終規
則の概要は以下の通りである。

@ミルク・マーケティング・オーダーの統合

 現在31あるミルク・マーケティング・オーダー(地域)を11に統合

99年 1 月 1 日現在のミルク・マーケッティング・オーダー(31地域)
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今回発表された最終規則に基づくミルク・マーケティング・オーダー(11地域)

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                            資料:AMS/USDA

A飲用規格(グレードA)生乳の用途別

区分の見直し
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注:グレードAは、米保健社会福祉省食品医薬品局(FDA)が示す基準に従い、
  各州が定める飲用向け生乳基準を満たしたもの。グレードBはUSDAが示す
  基準に従い、各州が定める加工原料乳基準を満たしたもの。

BBFPに代わる乳価算定方式の導入

 用途別乳価の算定基礎として用いられてきた基礎公式価格(BFP)を、チーズに
対応するクラスV価格とバターおよび粉乳に対応するクラスW価格に置き換える
こととし、乳製品に用いられる乳成分の価値を反映するような算出方法に変更

現 行:BFP=M−W価格(伝統的な加工原料乳生産地域であるミネソタ、ウィス
    コンシン両州のグレードB乳価)+調整要素(乳製品の価格変動を勘案)
    改正後:クラスV、クラスW価格=チーズなど乳製品の価格動向に基づ
    き、乳成分の価値を勘案して算定

CクラスTの最低取引価格の算定方式の変更

現 行:クラスT価格=クラスV価格(=BFP)+オーダーごとに定められた上乗
    せ額(ウィスコンシン州オークレア市からの輸送コスト等を勘案)

改正後:クラスT価格=クラスVまたはクラスW価格のうちいずれか高い方+郡
    ごとに定められた上乗せ額(輸送コストを部分的に勘案)

DクラスV(ソフト乳製品向け)の算定方式の変更

現 行:クラスU価格=クラスV価格(=BFP)+30セント/100ポンド(約0.8円
    /kg: 1 ドル=121円)

改正後:クラスU価格=クラスW価格+70セント/100ポンド(約1.9円/kg)


今後はオーダーごとに実施される生産者による全体投票の結果次第

 今後、生産者による全体投票において、対象地域内の生産者の3分の2以上ま
たは 3 分の 2 以上の生乳を生産する生産者により承認されれば、新制度は99年
10月1日から発効することになる。最近に至り、BFPが急落していることなどから、
今後の酪農・乳業界の反応が注目される。

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