豪州の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○回復の兆しを見せる生体牛輸出


アジアの需要回復と新興市場が後押し

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、99年上半期(1〜6月)の生体牛
輸出は、前年同期を8.0%上回る27万5千頭となった。

 生体牛輸出は、90年代、インドネシアなど東南アジアからの需要拡大に伴い急
速に拡大し続けたものの、97年後半のアジア経済危機を背景としたインドネシア
・ルピアの大幅下落を契機に輸出環境が激変し、98年通年では前年の2分の1近く
の水準まで落ち込んだ。99年に入り、東南アジアの経済回復に伴いフィリピンな
どの需要が徐々に回復してきたことや、中近東などの新興市場の発展により再び
需要が回復の兆しを見せつつあるが、99年上半期の生体牛輸出は、97年同期の約
6割の水準となっていることから、経済危機以前のレベルには遠く及ばない。

◇図:98年および99年の生体牛輸出相手国の比較(上半期)◇

◇図:生体牛輸出の推移◇


リビアに代わりエジプト向けがけん引役に

 主要な輸出先の動向を見ると、最大はフィリピン向けで、前年同期を8.0%上
回る10万4千頭となった。続く輸出先はエジプト向けで、前年同期の約3倍の10万
1千頭となり、輸出全体に占めるシェアは36.8%と目覚しい躍進を見せた。3番目
はマレーシア向けで、前年同期を1.1%下回る2万8千頭となり、これら上位3市場
で輸出全体の9割近くを占めることとなった。

 昨年の生体牛輸出のけん引役であったリビア向けは、99年2月以降、リビア政
府の入札が行われず停止状態が続いているため、前年同期より10分の1以下の水
準までに激減した。


難航するインドネシア向け

 97年以前、生体牛輸出の半分近くを占めていたインドネシア向けは、通貨ルピ
アの下落などの影響を受け、事実上輸出停止の状態が続いていたが、98年後半か
ら徐々に再開し始め、99年上半期は前年同期の10倍の2万2千頭まで回復した。し
かし、東ティモールの騒乱以来、豪州、インドネシア2国間の政治関係が悪化し、
安定しつつあったルピアも騒乱を機に再び下落していることから、極めて厳しい
輸出環境となっている。

 最近の好調な牛肉輸出を背景に、肉牛価格が上昇していることから、生体牛輸
出が回復の兆しを見せるものの、豪州北部地域を中心に肉牛調達が困難な状況に
あるとされている。生体牛輸出業者は、肉牛の調達をめぐり食肉加工業者との競
合しが厳しくなり、輸出向け肉牛の確保に苦慮していると伝えられている。

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