◇絵でみる需給動向◇
99年上半期のブロイラー1羽当たりの生産費は、経費の約98%を占める変動経 費が前年同期比90.7%の46.6バーツ(1バーツ=約2.8円)、固定経費が同108.9% の0.9バーツ、合計で同91.0%の47.5バーツとなった。しかし、今期は、通貨下落 による経済停滞の始まった97年下半期および98年実績を下回ったものの、通貨下 落以前の生産費の水準には戻っていない状況となっている。主要な経費の内訳で は、生産費の約7割を占める飼料費の下落が最も大きく、同83.5%の32.5バーツ、 続いて管理費が同90.6%の0.8バーツ、薬剤費が同98.9%の1.6バーツとなった。逆 に、上昇した経費は、98年下半期から上昇を続けている素ひな費が、同118.3%の 10.1バーツ、設備費が同109.7%の0.1バーツなどとなった。 なお、ブロイラー用配合飼料価格(仕上げ用、1kg当たり)は、97年から98年 にかけて、通貨下落による飼料原料用穀物の輸入価格の上昇および天候不順によ る国産穀物の不作などにより、96年の7.9バーツから97年には8.3バーツに、さら に、98年には9.6バーツと上昇した。しかし、99年上半期の同価格は、98年下半期 から下落し始め、96年の水準の8.0バーツまで下落している。
96年に7.2バーツであった素ひな(1羽当たり、バンコク市場)価格は、97年が 通貨下落による生産コストの上昇などで9.6バーツに、98年は鶏肉の輸出増加によ る需要の増加などで10.0バーツに上昇するとともに、同年10月には、これまでの 最高となる12.6バーツを記録した。以降、同価格は高値安定で推移することとな り99年上半期は10.1バーツとなった。しかし、99年7月以降の素ひな価格は、チャ ロン・ポカパンが販売するブロイラー用素ひなでは、7月に12.7バーツの高値にな ったものの、8月(第3週までの平均)には7.5バーツに急落している。
鶏1kg当たりの生産費と農家販売価格との差を、生産者の大ざっぱな収益とし て見た場合、99年上半期の収益は、97年および98年に比べかなり改善されてい る。97年は鶏肉の輸出が96年に比べ増加したものの、約15万トンと、例年に比 べ不振であったこと、同年下半期から通貨下落の影響により生産コストが増加 したことなどにより、前年比34.7%の1.22バーツと大幅に減少した。98年は鶏肉 輸出の増加による農家販売価格の上昇などで、収益が改善され、前年の約2倍と なる2.45バーツと大幅に増加した。さらに、99年上半期の収益は、国内生産の 減少による農家販売価格の上昇および同年3月以降、生産コストの安定などによ り、前年同期比106.1%の2.77バーツまで改善されている。 ◇図:ブロイラー生産農家の生産費と農家販売価格の推移◇
元のページに戻る