米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○低迷するブロイラー価格


需要期の価格回復見られず

 米農務省(USDA)によると、99年9月のブロイラー卸売価格(12都市平均丸ど
り価格)は、前年同月を19%下回る57.2セント/ポンド(136円/kg:1ドル=
108円)となった。卸売価格は、ロシア向け輸出が激減したことから、98年8月を
ピークに下降し始めた。今年4月に一度底を打った感があったものの、その後は
再び低下傾向が継続している。特に、今年は、例年バーベキュー需要で価格が上
昇する夏場の需要期にあっても、回復の気配を見せなかった(左図参照)。


供給増に牛肉との競合激化が追い討ち

 このように価格が低迷しているのは、需要が供給を消化しきれないことによる。
ブロイラー生産量は、飼料コストの低下に伴い加工段階の収益が良好であること
から、増加傾向が継続し、99年1〜9月では前年同期を7.2%上回った。これに対し、
需要面では、牛肉の需要が極めて堅調であるため、業界が恒例のキャンペーンを
9月に展開したにもかかわらず、小売部門ではステーキなどの牛肉の販売に力点が
置かれるケースが多かった。このため、8月末時点における冷凍鶏肉の在庫量は、
8月の過去最高であった96年の27万9千トンを38%上回る38万6千トンと大幅に増
加した。

◇図:ブロイラーの飼料コストおよび純収益◇

◇図:鶏肉在庫量の推移◇


99年平均では前年より低下の見込み

 こうした状況の下、在庫処分のため、秋口に入って小売段階での採算割れ販売
が目立っている。また、11月の感謝祭向け需要は出足が遅れているうえ、「世紀
末商戦」用の特需は、これまでのところ牛肉に軍配が上がっている。このため、
USDAでは、年内は50ドル台後半での推移が継続し、99年平均でも、年前半まで
の好調な輸出需要に支えられて大幅に上昇した98年からは低下し、58〜59ドルに
なると見込んでいる。

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