◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)は、9月1日現在のトウモロコシ在庫量を発表した。これに よれば、在庫量は前年同期比37%増の4,563万トンとなり、96年を底に3年連続で 増加した。その内訳を見ると、農場在庫が26%増の2,050万トン、農場外在庫が 48%増の2,513万トンとなった。 今年の在庫量を過去10年間の平均(3,310万トン)と比べると、約1.4倍の水準 となっている。 ◇図:トウモロコシ在庫量の推移(9月1日現在)◇
在庫増加の主な要因は、供給量の増大が挙げられる。98/99年度(9〜8月)の 期首在庫は、前年同期比48%増の3千3百万トン、生産量は前年度比6%増の2億4 千8百万トンで、輸入量も増加したことから、供給量は全体で10%(約2千5百万ト ン)の増加となった。 一方、同年度の需要は、国内消費が飼料用および食料・工業用などが好調であ ったため、前年度比1.6%増の2億4千8百万トン、輸出についても35%増の5千1百 万トンに達するとみられている。しかし、全体としては供給増が需要増を上回っ たことから、在庫は積み増しされる結果となった。
USDAが9月10日に発表した需給予測によれば、99/2000年度の生産量は前月の 予測値から約457万トン下方修正して、前年度比4%減の2億3千8百万トンと見込 まれている。これは、7月下旬から8月上旬にかけて、米国の中東部地区を襲った 高温と乾燥した気候が穀物の生育に悪影響を及ぼしたためである。しかし、市場 関係者の間では、予想を下回る下方修正であったことに加え、在庫水準も予想を 上回ったことから、一層の過剰感が強まっており、トウモロコシ価格は、しばら くの間、低迷が続くとみられている。
USDAが発表した10月3日時点の主要17州のトウモロコシ作柄動向によれば、成 熟期に達した割合は全体の94%に達しており、豊作であった前年度を1ポイント 下回ったものの、過去5年間の平均を10ポイト上回った。既に南部地区から収穫 は開始され、天候もおおむね良好なことから、収穫作業は順調に進められており、 10月3日時点では3割弱が完了したとしている。主産地での本格的な収穫時期を控 え、旧穀を持ち越している生産農場の一部では、新穀の保管スペース確保に苦慮 しているとも伝えられている。
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