◇絵でみる需給動向◇
ニュージーランド・デイリー・ボード(NZDB)によると、98/99年度(6〜5 月)の主要乳製品の生産量は、これまで増加基調にあった生乳生産が同年度では 前年度比4.6%減少した(左図参照)ことを受け、脱脂粉乳を除き総じて減少し た。特にチーズは、前年度を22.5%下回る21万4千トンと、主要な乳製品のうち で最も減少率が大きく、90年以降の一貫した増産傾向にいったん歯止めがかかる 形となった。また、バターは前年度を16.1%下回る32万トン(左図参照)、全粉 乳についても前年度を15.0%下回る34万1千トンとなり、チーズ同様2ケタの大幅 な減少率となった。 ◇図1:チーズ生産量の推移◇ ◇図2:全粉乳生産量◇
一方、脱脂粉乳は前年度を10.6%上回る19万7千トンと、他の乳製品とは異なり 生産増となった。NZの乳製品は生産の約9割が輸出され、その輸出先は製品によ って大きく異なるが、脱脂粉乳の場合は、フィリピンやマレーシアなどのアジア 向けが輸出の大半を占める。このため、アジア各国の経済危機の影響などを受け、 97/98貿易年度(7〜6月)の輸出は減少が見られた。しかし、98/99年度後半か らは、マレーシアや台湾など一部アジア地域からの需要が回復したことや、ベト ナムや中国などの新興市場からの需要が増加したことから、これらの輸出需要が 生産増に寄与したと考えられる。 ◇図3:脱脂粉乳生産量の推移◇ なお、乳製品の一元輸出を行うNZDBでは、前年度と比べて98/99年度は、各 酪農協からの買い入れ数量が下回ったものの、販売量は上回ったことから、乳製 品の在庫率が低下したとしている。
99/2000年度第1四半期(6〜8月)の生乳生産量は、NZでは冬季に当たるため 年間で最も生産が少ない時期ではあるものの、比較的良好な天候が続いているこ とから、前年同期を7.0%上回る5万4千トン(乳固形分ベース)となっている。 地域別では、伝統的な酪農地域である北島が前年同期を5.4%上回ったのに対し、 新興地域の南島は、前年同期を35.4%と大幅に上回った。 NZDBでは、99/2000年度の生乳生産について、このままの調子が続くならば 2年前の記録的水準までに近づくとみており、新年度は好調にスタートしたと言 えよう。
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