CDC、食中毒に関する最新推計値を公表（米国）

これまでで最も完全な推計

　米保健社会福祉省（HHS）疾病予防管理センター（CDC）は9月16日、食中毒
に関して、これまでで最も完全であるという推計値を公表した。これによれば、
米国の年間食中毒発生件数は7千6百万件、入院患者数は32万5千人、死亡者数は
5千人に上るとしている。

　従来、一般に利用されていた数値によれば、年間の食中毒発生件数は3千万件、
死亡者数は9千人とされていたことから、食中毒の発生件数は2倍以上に上方修正
され、死亡者数は半数強に下方修正されたことになる。

　CDCによれば、今回公表されたデータは、新規および既存の調査システム、死
亡証明並びに学術機関によって公表された研究などのさまざまな資料に基づいて
おり、これまで計算された中で最も完全な推計値であるとしている。また、推計
値は、疾病の発生頻度の変化を反映するものではなく、より的確な情報と新しい
分析の結果を反映したものであり、以前の推計値と比較されるべきではないとし
ている。

食中毒の確率は4人に1人

　今回の報告では、病原別の分類がなされている。それによれば、サルモネラ菌、
リステリア菌およびトキソプラズマによる死亡者数は年間1千5百人、また、原因
不明の病原による食中毒発生件数は6千2百万件、入院患者数は26万5千人、死亡
者数は3千2百人であるとしている。

　他方、病原性大腸菌O157による疾病発生件数は年間73,480件、うち食中毒によ
るものが62,458件である。また、死亡者数は、以前の推計値である年間250〜500
人に対して61人（うち52人が食中毒）と大幅に減少している。

　ワシントンに拠点を持つ消費者グループは、CDCの公表したデータを基に、こ
れは国民の4人に1人が食中毒にかかり、840人に1人が入院し、5万5千人に1人が
死亡することを意味しており、米国人にとって決して安心できる確率ではないと
警告を発している。

行政が食品の安全性確保に積極関与

　93年以来、クリントン政権は食品安全性確保対策（President′s food safety
 initiative）の拡充に取り組んでおり、食肉、家きん肉および水産食品の新しい安
全基準の策定、フードネットを通じた食中毒監視システムの改善、食中毒発生の
発見を改善するために実施される新早期警報システムの導入などを実施してきた。

　さらに、CDCは98年、食中毒の病原を早期に発見するため、DNA指紋法を用い
たパルスネットを開始している。

　今回のデータの公表を受けて、シャララ保健社会福祉長官は、議会に対して、
食品の安全性を確保するための積極的な努力を維持するため、大統領の食品安全
性確保対策は満額確保される必要があることを訴えると語った。

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