EUの牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○1戸当たり牛飼養頭数、イギリスを除きいずれも拡大


1戸当たり牛飼養頭数、2年間で8.2%増加

 EU統計局は、EU15ヵ国の牛の飼養戸数および飼養頭数(97年11月または12月
現在)について、飼養規模別のデータを公表した。これによると、2年前に公表
された前回の調査結果と比較して、総飼養戸数および総飼養頭数とも減少してい
るものの、EU15ヵ国の1戸当たりの牛飼養頭数は、前回より8.2%増加し47.5頭/
戸となっている。

 1戸当たりの飼養頭数を国別に見ると、最小のポルトガルの8.6頭/戸から最大
のルクセンブルグの108.0頭/戸までばらつきは大きいものの、14ヵ国で着実に
増加している。これとは対照的に、唯一イギリスだけが、牛海綿状脳症(BSE)
対策によると畜増により飼養頭数が減少したことから、前回比2.3%減の87.0頭/
戸と低下した。

EUの1戸あたりの牛飼養頭数
be-eu05.gif (8871 バイト)
 資料:EU統計局
 注1:飼養頭数は、肉用牛および乳用牛すべての頭数である。
  2:EUの数値は97年11月または12月現在
  3:日本の数値は99年2月1日現在のもの。


総飼養戸数は減少、ただし飼養頭数100頭以上の階層は増加

 飼養戸数を飼養規模階層別に見ると、100頭未満の階層の飼養戸数は、いずれ
も減少しており、減少率は飼養規模の小さい階層ほど大きくなっている。しかし、
1〜9頭の戸数が全体に占める割合は、前回から2.2ポイント低下したものの、31
.9%を占めており、50頭未満の戸数は依然全体の7割を占めている。一方、100〜
199頭の階層は1.7%増の17万7千戸、200頭以上の階層は9.1%増の5万9千戸とかな
り増加している。

 国別に見ると、フランスやドイツなどで200頭以上の戸数が前回に比べて10%
以上増加しており、EUの中では1戸当たりの飼養頭数が比較的小さいスペインと
スウェーデンではフランスの2倍を超えるペースで増加している。これとは対照
的に、オランダでは、全階層で飼養戸数の減少が見られ、イギリスでも1〜9頭お
よび200頭以上の階層で飼養戸数が減少している。

◇図:EUの牛の飼養規模別飼養戸数◇


わずか3%の生産者が約4分の1の牛を飼養

 飼養頭数を飼養規模階層別に見ると、飼養戸数の7割を占める50頭未満の階層
が飼養頭数に占める割合は、前回より2ポイント低下して22.9%となった。一方、
飼養戸数のわずか3.3%の200頭以上の階層については、1.6ポイント上昇し23.5%
となった。100頭以上の階層が飼養する頭数は、今回の調査で全体の2分の1を超
え、一部の大規模農家への集中化が引き続き進行している。

 国別に見ると、200頭以上の階層が飼養する牛頭数シェアが最も高い国はイギ
リスで38.8%、次いでイタリアが32.9%となっている。

◇図:飼養規模別飼養頭数の割合◇

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