◇絵でみる需給動向◇
チーズ価格が上昇している。米農務省(USDA)によると、チェダーチーズ卸 売価格(ウィスコンシン地区のFOB価格)は、99年5月を底に上昇し、8月には前 年同月比13.2%高の189セント/ポンド(475円/kg:1ドル=114円)と、過去最 高を記録した昨年12月に迫る高値となった。また、取引数量は極めて少ないもの の、数少ない価格形成の場として卸売価格に影響を与えているシカゴ・マーカン タイル取引所(CME)のチェダーチーズ現物取引価格は、8月第4週には瞬間的に 197セント/ポンド(495円/kg)を記録した。 ◇図:チーズの卸売価格◇
このような価格の高騰は、需要が旺盛であるにもかかわらず、市場への出回り 量が減少したことに伴う需給のひっ迫が主な要因とみられる。チーズ生産は、昨 年10月以降前年を上回って推移していることから、業者が秋の値上がりを期待し て、価格が比較的安いとされる時期に在庫を積み増した結果、市場への出回り量 が減少したことが価格に大きく影響したと業界では分析している。チーズの在庫 は、今年に入って増加を続け、7月末現在では前年同月比28%増の高水準となっ た。また、7月後半から8月初めにかけての猛暑により、南西部など一部地域で生 乳生産が激減し、原料乳が短期的に不足したため、価格の上昇に拍車がかかった ともみられる。 ◇図:チーズの生産および在庫の推移◇
今後の見通しについて、USDAでは、生乳のチーズ仕向けが増加するとともに、 原料乳が不足する地域では、脱脂粉乳とクリームからチーズが生産されるように なること、また、在庫からの出回り増加が見込まれることから、チーズ価格は値 を下げていくとしている。また、業界関係者も、チーズ価格がここ数年乱高下を 繰り返してきたことから、この高騰ぶりに対して冷静な反応を示しており、年末 には120セント/ポンド(302円/kg)程度まで下落すると分析している。
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