◇絵でみる需給動向◇
先頃、行政院農業委員会(農業省に相当)と台湾省政府農林庁が共同で発表し た99年5月末現在の豚の飼養動向調査によると、養豚農家戸数は、前回調査時 (98年11月)より7.3%減の15,825戸となった。これを口蹄疫発生(97年3月)直 前の96年11月末現在の調査と比較すると、37.6%も減少しており、口蹄疫発生後、 台湾の養豚農家戸数は約6割程度まで落ち込んだことになる。
政府は、口蹄疫の発生以降、生産と消費需要のバランスを図り、同時に養豚に よる環境汚染の低減・防止などを目的として、競争力の弱い養豚農家に対し、補 償金付きの離農を指導してきた。しかし、養豚農家の戸数が減少する一方で、99 年5月末における豚の飼養頭数は、高値で推移する豚価などを背景に、前回調査 時に比べて3.9%増加した(本誌9月号需給動向「台湾の豚肉」参照)。これによ り、99年5月末における養豚農家1戸当たりの平均飼養頭数は、前回調査時に比べ4 6頭(12.0%)増の429頭となった。
飼養規模別の農家戸数の割合を見ると、飼養頭数が99頭以下の小規模農家が49 .7%と全体の約半分弱を占めている。100〜999頭の中規模農家は39.9%、1,000頭 規模以上の大規模農家は10.4%となった。しかし、各階層ごとの戸数の増減を見 ると、前回調査時に比べ、999頭までの階層では全体に農家戸数が1割程度減少し ており、中規模農家の中でも、特に100〜199頭規模の農家は、20.7%と大幅な減 少を見せている。一方、競争力のある1,000頭規模以上の農家戸数は、前回調査 時に比べ1割以上増加した。 規模別養豚農家戸数 資料:台湾省政府農林庁「台湾地区養猪頭数調査報告」 注1:( )内は98年11月末との比較 2:「平均」は、1戸当たり平均飼養頭数 飼養頭数の減少が一段落し、再び増加の傾向を見せる中で、999頭規模以下の 農家戸数が減少し、1,000頭規模以上の農家戸数が増加したことは、台湾における 養豚農家が大規模層にシフトしつつあることを示すものであり、口蹄疫発生後の 混乱期を経て、政府による養豚の構造調整政策が次第に効果を上げていることが うかがわれる。 ◇図:規模別養豚農家の割合◇
飼養頭数100頭以上の養豚農家を対象に行われた、今後の飼養規模に関する意 向調査によると、7,372戸のサンプル農家のうち、81%(前回調査時78%)の農家 が現在の飼養規模の維持を希望する一方、規模拡大を希望する農家は14%(同6 %)にまで増加した。これに対し、規模縮小を考える農家は5%と、前回の16% に比べ3分の1以下に減少した。
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