◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、99年上半期(1〜6月)の豚肉輸出量(枝肉ベー ス)は、前年同期比11.5%減の約25万9千トンとなった。豚肉輸出は、90年代に入 って急激に増加してきたが、ここで一転して前年を下回った。仕向け先別では、 最大の市場である日本向けは、安定した需要に支えられ、前年同期比7.7%増の12 万3千トンとなった。また、韓国向けも、国内の需給がタイトになったことなどか ら、1万3千トンと前年同期に比べ2倍以上の水準となった。しかし、日本に次ぐ仕 向け先であるカナダ向けは、国内の供給が極めて潤沢であることなどから、前年 同期比17.1%減の2万7千トンにとどまった。 ◇図:上半期の豚肉輸出量◇
これに対し、99年上半期の豚肉輸入量(枝肉ベース)は、前年同期比30.3%増 の約18万2千トンとなった。この大幅増は、7割以上のシェアを占めるカナダから の輸入量が、前年同期を37.2%上回る13万1千トンを記録したことによる。カナダ では、食肉処理加工業への投資の増加に伴い、と畜処理能力が拡大し、99年に入 ってからのと畜頭数は2割程度増加している。同国産の豚肉は、規格にばらつきが なく、品質が良い上に価格面でも競争力が強いとされることから、同国の業界で は、供給が増加した分は、将来的にアメリカ大陸以外の市場へ輸出されることを 期待している。しかし、新規市場が十分に開拓されていない現時点では、地続き の米国へ供給せざるを得ない状況にある。 ◇図:上半期の豚肉輸入量◇ このため、米国の豚肉の純輸出量(輸出量マイナス輸入量)は、10年ぶりにそ の上昇傾向が鈍化する可能性が生じている。
USDAでは、輸出は、下半期にロシア向け食料援助が予定されていることから、 上半期の落ち込みから回復し、99年通年では前年比1.4%増の56万5千トンとなる ものの、2000年は国内の肥育豚価格が回復して競争力が低下することから、10 年ぶりに前年を下回ると見込んでいる。一方、輸入については、カナダで大手パ ッカーが大規模処理場を9月から操業させるなど一層の供給増加が見込まれるこ とから、99年通年では、前年比12.0%増の35万8千トンに達するものの、2000年 は減少するとみている。 ◇図:豚肉輸出量の推移◇
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