フィードロットでの肉牛生産(アルゼンチン)
99年のフィードロットの肥育頭数は約100万頭の見込み
アルゼンチンのフィードロット生産は、97年頃から本格的に始まり、穀物価格
が安値になるとともに生体牛(肥育仕上がり段階)市場価格が高騰した98年にピ
ークに達した。同年は1,135万頭のと畜頭数のうち、約150万頭がフィードロット
由来であった。99年は、肥育素牛価格の高値などから減少するとみられ、関係者
によれば約100万頭がフィードロットで肥育されると予測されている。
フィードロット生産は農家の経営戦略の1つ
フィードロット生産は、生体牛市場価格が低下し、一般的な放牧生産で利益が
上がらない場合、素牛価格、販売価格、穀物価格などを考慮して、生産農家が広
い土地を必要としない畜産経営戦略の1つの手段として選択される。
現在、フィードロットは約500ヵ所あり、そのうち25ヵ所が年間5千頭以上を肥
育できる規模となっている。主な市場は、高品質の牛肉を扱う国内スーパーマー
ケットである。
企業経営による大規模フィードロットも2ヵ所建設中
企業経営によるフィードロットもあり、一時期の投資ブームは減退してきたも
のの、現在ブエノスアイレス州西方のサン・ルイス州に年間10万頭以上の牛を肥
育できる大規模フィードロット2ヵ所が建設中である。これらは、米国の投資家
ジョージ・ソロスのクレスド社と米国の大手フィードロット会社カクタスフィー
ダーズが合弁で所有しているものと、織物産業のラディシグループが所有するも
のである。
6〜7ヵ月齢の素牛を90日間肥育、出荷時は9〜10ヵ月齢の若齢牛
フィードロットで肥育される牛のタイプは、未経産牛50%、去勢子牛25%、若
齢の去勢牛23%、経産牛3%である。
75%を占める未経産牛と去勢子牛肥育の場合、母牛から離乳したての160〜170
kgの素牛(6〜7ヵ月齢)を約90日間肥育させ、250〜270kg(9〜10月齢)で出荷す
るのが一般的である。肥育期間中の飼料は、トウモロコシのホールクロップや穀
実のサイレージ、グルテンミールが主体となり、ビタミンやミネラル類の飼料添
加物も与えられる。
国内の市場は柔らかい若齢牛肉を好む
同国のフィードロット肥育で、離乳したての未経産牛と去勢子牛の割合が高い
理由としては、次の点が挙げられる。
@ 国内市場は、柔らかい若齢牛肉が好まれること
A フィードロット肥育の市場での有利性(99年7月までの平均生体牛市場価格
は、一般的な放牧生産のもので0.81〜0.86ドル(92〜98円:1ドル=114円)/
kgに対し、フィードロット肥育のものは1ドル(114円)/kg)
B 早期離乳により母牛の次の発情を促す結果となることから、繁殖経営上好ま
しいこと
フィードロット生産の収益性を、典型的な農家を例に取ってみると次の通りで
ある。
フィードロット生産の1頭当たりの収益性
元のページに戻る