米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○減少が続く牛飼養頭数


4年続きの牛群縮小

 米農務省(USDA)の調査結果によると、99年7月1日現在の牛の総飼養頭数は、
前年同期を0.8%下回る1億680万頭となった。90年に底を打ったキャトルサイク
ル(肉用牛経営の収益性の変化がもたらす循環的な牛群消長)は、5年後の95年
にピークに達し、その後下降局面に入っているが、今回の調査結果から、減少率
は年々小さくなっているものの、4年連続で頭数が減少していることが明らかと
なった。

◇図:牛の飼養頭数の推移◇


減少幅の大きい更新用雌牛

 特に減少幅の大きいのが肉用の更新用未経産牛で、前年に比べ4%、前々年に
比べると9%下回る480万頭となった。USDAはこの結果について、生産者は牛群
の再構築に意欲的ではなく、繁殖牛群の拡大はまだ始まっていないと分析してい
る。その要因として業界関係者は、肥育素牛価格が魅力的でないために生産者が
牛の保留に消極的である一方、トウモロコシなどの飼料価格が安いために収益性
が良好であることからフィードロットが牛の導入に積極的であることなどを挙げ
ている。これらを裏付けるように、99年上半期のフィードロットへの導入頭数は、
前年同期比112%と大幅に増加し、99年1〜7月の未経産牛のと畜頭数も690万頭と
記録的に多くなった。

種類別牛の飼養動向
be-us06.gif (5490 バイト)
 資料:NASS/USDA「Cattle」
  注:1)500ポンド以上
    2)500ポンド未満の子牛
    3)各年7月1日現在


減少に歯止めがかかるのは早くて来年か

 USDAでは、繁殖部門の生産者が保留を開始するのは、牧草が良好に生育し、
飼料価格の低水準が継続するとともに、肥育素牛価格が上昇することが前提とな
ることから、牛群の減少に歯止めがかかるのは、早くて来年以降とみている。こ
うしたことから、牛肉生産量は、99年には前年をわずかに上回るものの、2000年
には減少に転じ、増加が始まるのは2003年になってからとUSDAは見込んでいる。

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