◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、ブロイラー生産量(連邦検査済み数量:可食処 理ベース)は、今年4月以降減少傾向で推移していたが、7月は再び増加に転じ、 99年1〜7月で見ると、前年同期を5.9%上回る780万トンとなった(左図参照)。 生産の指標となるひなふ化羽数も一貫して前年を上回る水準で推移している。 このように増産が続いているのは、穀物価格の低迷による生産コストの低下によ り、ブロイラー処理業者が十分な収益を維持していることが最大の要因とみられ る。さらに、と体重量が99年上半期では前年同期比3.1%増の2.3kgと大型化して いることも増産の一因となっている。USDAでは、穀物価格は今後1年半程度記録 的な安値が継続するとみられることから、99年および2000年のブロイラー生産量 は、1,340万トン(前年比106.2%)および1,400万トン(同104.7%)と過去最高 を更新すると見込んでいる。 ◇図:ブロイラーひなふ化羽数◇ ◇図:ブロイラーの純収益◇
一方、ブロイラー卸売価格(12都市平均丸どり価格)は、4月以降徐々に回復 し底入れした感がある(左図参照)。しかし、USDAでは、国内需要は堅調であ るものの、最大の市場であったロシア向けの輸出が大幅に落ち込んでいる上、記 録的な生産増加が継続することから、今後飛躍的な価格の上昇は見込めないとし、 99年の平均卸売価格を97年並みの57〜59セント/ポンド(151〜156円/kg:1ド ル=120円)、また、2000年については54〜58セント/ポンド(143〜153円/kg) とさらに低下するとみている。
このように、97年以来の安値となっている中、業界は、国内外で需要の掘り起 こしに懸命となっている。国内では、全国鶏肉協議会(NCC)が、9月に消費拡 大キャンペーンを予定している。「9月はチキン」と銘打ったこのキャンペーン は昨年、期間中の売り上げが開始時の89年に比べて6割増えた実績を誇る。11年 目となる今年はロゴマークを一新し、さらなる販売機会の拡大を狙う。一方、海 外では、アメリカ家禽鶏卵輸出協会(USAPEEC)が旗振り役となって、ロシアで の鶏肉生産を手がける合弁事業に乗り出した(本紙99年5月号「需給動向:米国 の鶏肉」参照)。出資割合は、米国50対ロシア50で、米側はUSDAおよび業界 (タイソンフーズなど約30社)が出資し、現在、合意後の最終的な詰めの作業が 進んでいる。この事業は、ロシア向け輸出の回復が短期的には望めない中、現地 生産による活路を見出せるか否かの試金石となるだけに、業界では、今後の展開 を見守っている。
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