豪州の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○回復の兆しを見せるアジア向け乳製品輸出


乳製品生産は総じて前年水準を上回る

 豪州農業資源経済局(ABARE)による第1次産品の需給見通しによると、98/
99年度(7月〜6月、以下同じ)の主要な乳製品の生産量は、総じて前年水準を上
回るとみられている。これは、およそ8割が加工用に仕向けられる生乳の生産量
が、前年度を5%程度上回り、記録的な生産量となることが見込まれているため
である。乳製品の中でも、特に大きな増加が見込まれるのは全粉乳で、98/99年
度の生産量は前年度を15.1%上回る14万5千トンとされている。また、近年の国
内外の需要増に伴い一貫した増産傾向が見られるチーズは、前年度を5.5%上回
る30万5千トンと見込まれている。

主要乳製品の生産量および輸出量の推移
mi-aus05.gif (3697 バイト)
 資料:ABARE「Australian Commodities」
     注:98/99年度は速報値、99/2000年度は予測値


乳製品輸出は粉乳、チーズが増加

 こうした生産増に伴い98/99年度の主要乳製品輸出量は、バターを除き前年度
水準を大きく上回るとみられている。他の乳製品に比べ輸出依存度が約8割と高
い脱脂粉乳や全粉乳などの粉乳類や日本向けを主とするチーズの輸出が極めて好
調であったことから、乳製品の国際相場が軟調であったにもかかわらず、同年度
の輸出額は過去最高となる模様である。


脱脂粉乳輸出は前年度比24.2%増

 先ごろ公表された豪州統計局の輸出統計によると、98/99年度の脱脂粉乳の輸
出量は、ABAREが公表した速報値をわずかに上回る22万トンと、前年度に比べ24
.2%の大幅増となった。脱脂粉乳の輸出は、主な輸出先であるアジア各国の経済
混乱の影響を受けて減少の一途をたどっていたものの、最近の経済の安定化とと
もに需要が回復してきたとされる。また、98/99年度は、豪ドルが米ドルなどに
対し比較的安値で推移したことも輸出増に貢献したとみられている。


フィリピン、タイ向けが好調

 98/99年度の脱脂粉乳輸出を国別に見ると、全体の約4分の1を占めるフィリピ
ン向けは、前年度を41.5%上回る5万8千トンとなった。続くマレーシア、タイに
ついても、それぞれ8.6%増の3万3千トン、42.6%増の2万7千トンと著しい伸び
を示し、いずれも経済危機以前の96/97年度水準を上回った。

 また、98/99年度の脱脂粉乳の輸出額は、主要な輸出先でそれぞれ増加したこ
とから、前年度を12.3%上回る約5億豪ドル(約400億円:1豪ドル=80円)とこ
れまでの最高を記録した。

◇図:国別脱脂粉乳輸出量の推移◇


脱脂粉乳は生産、輸出とも引き続き増加の見込み

 ABAREによると、99/2000年度についても前年度を4%程度上回る生乳生産が見
込まれることから、引き続き脱脂粉乳の生産増がみられ、前年度を5.0%上回る23
万トンになると見込まれている。脱脂粉乳の輸出は、他の輸出国との競争が一段
と激しくなることに加え、豪ドル高が見込まれるとして、前年度をわずか1.4%上
回る21万9千トンと予測されている。

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